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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – トンネル工事中、作業者4名が一酸化炭素中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

トンネル工事中、作業者4名が一酸化炭素中毒に


発生状況

本件労働災害は、トンネル工事においてガソリンエンジン発電機を使用した際、作業者4名が一酸化炭素中毒になったものである。

事故発生当日、トンネル内部のコンクリート覆工を終えている部分に、電気ドリルを用いて孔を空ける作業を担っていた。作業開始前に一酸化炭素濃度を測定したところ異常がなかったため、発電機を稼働させて作業を開始した。午前中に一酸化炭素濃度が70ppmとなり1度だけ警告が出たものの、一定の時間を空けて作業を再開した。

午後になると、作業主任者ら2名は別の作業に移らなければいけなかったため、新たに2名の作業者と交代して作業を再開した。すると約2時間が経過した時、作業者4名が気分の不快を訴え始めたため、作業を中止してすぐに病院に搬送したところ、一酸化炭素中毒であるとのことだった。

作業現場には換気装置を使用していたが、ガソリンエンジン発電機を考慮していない換気量であった。また、元請けから作業主任者に対して発電機の使用方法についての説明、及び対策などの指導は行なっていなかった。

原因・対策

本件労災は、換気が十分でないトンネル内で内燃機関を使用したことや、一酸化炭素中毒への認識が低く、一度警告が鳴った後に適切な措置を施さなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、トンネルのような換気が悪い場所では内燃機関は極力使用しないこととし、やむを得ない場合は十分な換気を施すことが重要である。また、作業主任者への安全衛生教育を行い、作業者全員に有害物質の危険度を周知させることである。


一人親方あんしん労災 – 地下のサビ止め塗装中に作業者3名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

地下のサビ止め塗装中に作業者3名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、マンションの新築工事における地下の配管用ピットの塗装作業中に作業者3名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、被災者3名は地下の配管用ピット内の支柱にサビ止めの塗料を塗装する作業を担っていた。作業場は風通しが非常に悪く、小さな小窓が2つと出入り口のハッチがあるだけの状況だった。使用した塗料はキシレンが溶剤であり、作業者は口にタオルを当ながら作業を開始した。

午前中の作業は無事に終了し、午後の作業にとりかかった。すると終業時間が過ぎてからも被災者が地下から出てこなかったため、同僚が不審に思って状況を確認しにいくと、3名とも意識を失って倒れていた。急いで病院に搬送し、検査を受けたところ有機溶剤中毒であると診断された。

原因・対策

本件労災は風通しが悪い作業現場で換気の措置を施さず、呼吸用保護具等も使用していなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、地下のような通気が悪い空間で有機溶剤を用いた作業を行う際は、局所排気装置もしくは全体換気装置を使用するなどの措置を施し、十分な換気を行うことが重要である。また、事業者は有機溶剤の知識が十分である作業主任者を選任し、空気呼吸器や防毒マスク、皮膚への接触防止対策を講じるといった適切な作業計画を立てることである。


一人親方あんしん労災 – 型枠解体作業で水槽に立ち入った作業者が一酸化炭素中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

型枠解体作業で水槽に立ち入った作業者が一酸化炭素中毒に


発生状況

本件労働災害は、練炭を用いたコンクリート打設の際に、作業者3名が一酸化炭素中毒になったものである。

事故は防火水槽の新設工事におけるコンクリート打設から型枠解体作業に転じる際に発生した。コンクリート打設は水槽を掘った後にコンクリートを敷き詰めて固めるものであったが、現場は寒冷地であったため十分な保温養生をする必要があった。そのため、内部で練炭を燃焼させてビニールシートで蓋をし、放置することとなっていた。

養生開始から1週間後、型枠解体作業を行う別の事業者が現場に到着し、1人の作業者が水槽内部に入っていったところ、すぐにその場に倒れてしまった。その後、2人の作業者は救出に向かったが同じようにうずくまってしまい、3名は救急車で病院に搬送された。検査結果は一酸化炭素中毒とのことだった。

なお、コンクリート打設と型枠解体は別の事業者が請け負っており、練炭を用いて養生を行っていることを引き継ぐことなく作業を開始していた。また、換気装置は使用しておらず、被災者は呼吸用保護具も身につけていなかった。

原因・対策

本件労災は、水槽内部で練炭が不完全燃焼しているにもかかわらず、いきなり作業者が立ち入ったことが原因で起きた災害である。一酸化炭素濃度の測定や十分な換気、呼吸用保護具の着用をしていなかった。

このような事故を防ぐために、練炭などの燃焼ガスの中に一酸化炭素が含まれる場合には、関係者全員にその危険性を周知させ、適切な作業計画を立てることが重要である。また、水槽内に立ち入る際には十分な換気と一酸化炭素の濃度測定を行い、必要であれば呼吸用保護具を使用するなどの対策を講じることである。


一人親方あんしん労災 – 作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒


発生状況

本件労働災害は熱交換器の溶断作業をしていた作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒になったものである。

作業者は外側に無水硫酸ガス、内側に亜硫酸ガスが流れる熱交換器のチューブを溶断・交換する作業を担っていた。この熱交換器は亜鉛鉱の精錬過程において硫酸を製造するために使用されているものである。

工事開始前に亜硫酸ガスを排除したあと、それぞれのガスのフランジに遮蔽板を入れて溶断作業を開始した。なお作業者は直結式小型防毒マスクを着用していた。作業は進み、5日目の工程が終了した時に体の異常を感じる作業者が少しずつ出てきた。そして1週間が経過すると、1名が肺炎になり入院した。翌日以降は同じ症状を呈する作業者が続出し、最終的に24人が入院することとなった。検査の結果、亜硫酸ガスおよび水銀中毒ということだった。

原因・対策

本件労災は、体の不調を訴えた作業者が出たにも関わらず、作業を続行したことや、防毒マスクが劣化していたことが原因で起きた災害である。硫酸製造工程で配管内部に硫酸鉄塩が付着しており、それが溶断により熱分解されたことで亜硫酸ガスが発生した。また、水銀化合物がスラッジに含まれており、その蒸気を吸ったり皮膚吸収をしたことで体内に入ってしまったと考えられる。

このような事故を防ぐために、有毒物を扱う作業現場においてはあらかじめ設備内の付着物について調査を行い、作業者にその有毒性についての特別教育を行うとともに適切な保護具を使用させることが重要である。また、有毒物による体調不良を訴える作業者が出た際には直ちに作業を中止し、検査を受けさせることである。


一人親方あんしん労災 – 塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、工場の増設工事の屋内塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒になったものである。

本工事は3日間にわたって行われ、被災者を含む作業者4名は塗料用シンナーと第3種有機溶剤を含む塗料の混合物を用いて屋内の塗装作業を担っていた。被災者はこれらの塗料を混ぜ合わせてそれぞれの作業者へ配分する作業を行い、呼吸用保護具は使用していなかった。

前工程が終了した翌日、被災者に蕁麻疹症状が現れたため、病院で診察をしたところ、急性蕁麻疹および薬物性肝障害と診断された。本作業現場は扉や窓は開放されていたが、一部ビニールシートで囲われていたため、通気性が悪く、作業者はいずれも呼吸用保護具を着用していない状況だった。

原因・対策

本件労災は、作業者の有機溶剤の有害性への認識がないにも関わらず有機溶剤主任者が選任されておらず、十分な安全教育が行われていなかったことが原因で起きた災害である。また、十分な換気や呼吸用保護具の着用など、有機溶剤中毒の対策を講じていなかったことも要因の1つである。

このような事故を防ぐために、第三種有機溶剤を使用する作業現場においては十分な知識を有する作業主任者を選任し、適切な作業計画を立てることが重要である。また、作業者に対して安全教育を行い、当該作業の危険性を認知させるとともに対策を講じることである。

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