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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – ボイラー室にメタンガス滞留で爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

ボイラー室にメタンガス滞留で爆発


発生状況

本件労働災害は、ボイラー配管の補修を行う際に発生した爆発で、具体的には腐食した配管とガス安全機を新品に交換する工事であった。このボイラーは炉筒煙管型でバクテリアによってし尿分解を促進する保温用蒸気を供給していて、燃料にし尿処理場の消化槽から発生するメタンガスを使用している。

作業前の確認で、新しく用意した安全器と既存の配管を接続するボルトの穴の位置が合わないことが判明したため、フランジ部分の配管を取り外した後に一部分をガス溶断してボルト穴の位置を調節することにした。

消化槽からはメタンガスが通っているので消化槽側の仕切り弁は閉じ、配管側のフランジに閉止板を入れることにした。ところが災害発生当日、消化槽側の開口部にはテープでふさいで対応するのみであった。結局テープではガスの漏洩を止めることができず、このまま作業を続行した。

しばらくして、本来室外で行う予定だったガス溶断作業を悪天候のためボイラー室の中で実施することになった。このときボイラー室にはガスが滞留した状態であったため、室内で爆発が発生してしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、配管の開口部をテープでふさいだだけであったためにガスが漏れ出していたことや、そのガスがボイラー室で滞留したことが挙げられる。またガス溶断作業をボイラー室内で行なったことも起因している。

このような災害の対策として、配管の取り替え工事をする際は仕切り弁を閉めるだけでなく閉止板の設置を徹底することが重要である。また火気作業を行う場合は作業場所で発火の可能性がないか必ず安全を確認する必要がある。


一人親方あんしん労災 – ガス管の主弁を誤認しガス漏れ、爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

ガス管の主弁を誤認しガス漏れ、爆発


発生状況

本件労働災害は、ガス管の切断を行う工事中に発生したものである。今回工事を担当した事業場は普段給排水設備工事を請け負っているが、ガス会社の都合がつかなかったため本工事を担当することになった。

災害発生当日はガス供給配管の切り替え工事を行うことになっており、具体的には地下駐車場の天井に設置された鉄製のガス管(直径90mm)を切断しバルブ止めにするという作業が予定されていた。ガスの主弁の位置については、事前に施設管理事務所の立ち会いのもとに確認が行われていたが、図面での確認は行なっていなかった。

作業は2人で行われ、1人が地下階にある主弁を閉めたはずだったが、実際にはそれが冷温水発生器用の主弁であったため、工事する際に扱うガス管にはガスが通り続けている状態だった。

さらにこの状態で上の階のコンロのガス抜きを行なったが、厨房のガスメーターのコックが閉じた状態であることに気づかないままであったためいつまでもガスが出るところで異常に気づくことができなかった。このとき実際にはガスメーターのコックからコンロまでのガスが抜かれただけであった。

ところがガス抜きが完了したと判断した2人は、パイプカッターでガス管の切断を開始した。半分ほど切断したところでガスの匂いがしたため一度カッターの電源を切ったが、気のせいだと思い再びスイッチを入れたところパイプカッターからはねた火花から漏れ出たガスが爆発した。

原因・対策

本件労災の原因は、普段からガス管工事に携わっていない事業場により工事が行われたことや、主弁の位置を図面で確認しなかったことなどが挙げられる。またガスメーターのコックが閉じておりそれに気づかなかったことも起因している。

このような災害の対策として、作業を行う事業場の安全性を配慮して慣れない作業はなるべく避けること、また工事前に主弁の位置等を図面で確認することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 下水道トンネル建設中に掘削面が爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

下水道トンネル建設中に掘削面が爆発


発生状況

本件労働災害は、下水道トンネルの建設中に掘削していた切羽付近で発生したものである。 作業は、シールド機の回転カッターで土地を掘削する→鋼製セグメントを組み立てる→セグメントの裏込め注入という流れで行われた。

切羽周辺の地質は軽石質の砂れき層で、ところどころシルト層の部分もあった。そしてこのシルト層の下は、ガスが溜まっている可能性のある砂れき層であった。現場のトンネルでは坑口、坑内中間点と切羽の3地点で1日に2度、可燃性ガス濃度の数値を測定していたが、事故発生前の計測時点では特に異常は見られなかった。

ところが測定の2時間後、掘削作業を進めている最中に切羽付近が爆発し、被災者は火傷を負った。発生当時の換気に関しては、立坑入口付近に送風機が設置されており、切羽の60m先までスパイラル管で押込送風されていた。

災害後の調査で、設置したリングのグラウトホール周辺とシールド機後部天端付近でメタンガス濃度が5%を超えていたことが判明した。また点火源は、操作ユニット開閉器かタバコの火である可能性が高いこともわかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ガスの発生が考えられる地層が掘削部分よりも下であったことから確認が甘くなってしまったことと、換気が足りなかったことが挙げられる。さらに喫煙するなど現場の火気管理に対する意識が薄かったことも挙げられる。

このような災害の対策として、ガスの発生する地層が掘削部分より下方にあっても必ずメタンガスのチェックを行うことと、場合によっては自動警報装置を用いることが挙げられる。さらに火気管理に対する意識を作業員全員が強く持つことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 溶接作業中に焼酎製造メーカーのタンクが爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

溶接作業中に焼酎メーカーのタンクが爆発


発生状況

本件労働災害は、ある焼酎メーカーが貯蔵タンクを断熱材で囲む工事を、建設会社に3週間の期間で行うように発注。その工事中に溶接中にタンクが爆発し、1名が火傷を負ったものである。

事前に外部足場の設置は終了していたため、事故発生当日は断熱材取り付け用のブラケットをタンクの周囲に溶接する作業を行なった。このタンクにはアルコール濃度44%の原酒が大量に入っていたが、作業者はそのことを知らない状態だった。ブラケットは6本をつなぎ合わせることで一段分となり今回は9段設置することになっていた。

当日、元請け会社の現場責任者は別件で現場にはおらず、下請け会社の作業員4名に指示を残していた。 1人がアーク溶接をし、他の3名がそのサポートを行う形で溶接作業を開始した。3段目の溶接に取り掛かり、最上段の3本目を溶接していた際に、タンクが破裂し、爆風により1名が火傷を負った。破裂した箇所が偶然にも逆側だったため、被害者が少なかったが、死者が出てもおかしくない事例である。

原因・対策

本件労働災害は、焼酎製造メーカーにタンクを空にするように指摘していたにも関わらず、その作業を怠ったこと、作業者が作業開始時にタンクの中身を確認していなかったことが原因で起きた災害である。また、確認を怠ったせいでエチルアルコールが入っているにも関わらず、アーク溶接を行ったことで爆発に繋がった。

このような災害の対策は、アルコールなどの危険物を取扱う際は爆発火災の危険をなくしてから作業を開始すること。さらに発注者と作業者の連絡を密に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – ビル増設工事でガス供給配管切替工事中にガス爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

ビル増設工事でガス供給配管切替工事中にガス爆発


発生状況

本件労働災害は、街なかのビル増設工事の際にガス供給配管の切替工事を行うため、ガス管を切断しようとして爆発し作業者が被災したもの。

被災者AとBが所属する会社は孫請けで、災害が発生した日、本来は水道設備工事を請け負っていたがガス管工事の業者の都合がつかず、元請けではなく一次下請けの別会社とガス会社と協議の結果、被災者所属の会社で請け負うことになった。

現場の片付けが済んだ後、被災者Bが施工前に必要な弁を閉めて回った。事前に管理事務所の立ち会いのもと、閉める必要のある弁の確認を行ったが、設計図での確認はされていなかった。

工事現場にあたる地下階のガス主弁を止めに行った被災者Bが閉めた弁は、地下階ガス主弁ではなく、冷温水発生器の主弁でありガスのものではなかった。そのため、工事箇所のガスは正常に稼働したままだった。

建物にガスを引き込む大本の主弁を閉めなかったのは、ビル所有者が当日ボイラーを使用するため、工事箇所以外の弁を閉じないよう依頼したためだった。

Bはそのあと別の階にある厨房で、残留ガスのガス抜きを行うために着火した。その厨房はもとからガスの元栓が閉められていたが、Bはそれに気がついておらず、すぐに火が消えた。そのため地下階のガス主弁のガスが届かない状態だったので、ここでも間違えた弁を閉めたことに気が付かなかった。

そうして、地下階の作業箇所でガス管の切断作業が始まった。Aがガス管の切断を電動パイプカッターで開始し、40%程度切ったところで、ガス臭がしたようだったので一旦カッターを止めた。カッターを管から外し確認したところ、ガスの噴出音と臭気はしなかったので、再度カッターを動かそうとしたところガスの噴出音が聞こえたので、慌ててカッターを動かすことを止めようとした。しかし間に合わすスイッチが入り、ガス爆発を引き起こした。

着火の原因は、カッターのスイッチをオンにしたときの火花と見られる。 事故後、すぐさま管理事務所員がガスの建物引き込み弁を閉じた。

原因・対策

本件労働災害は、業務内容を理解してない業者に行わせたことで、閉めるべき弁の誤認が起きたことと、厨房で残留ガスを抜く作業を行った際も元栓の開閉確認をしなかったこと。さらに施工業者がガス工事業者ではなかったことである。

ガスは危険物であるので、ガスを取り扱う工事の場合は事前に充分な作業計画、作業方法の検討、作業日程の調整などを正確ににおこなう必要がある。また作業者も、ガスの危険性を充分認識し、適宜確認作業を行い、安全かつ適切な作業を行う必要がある。

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