一人親方あんしん労災 – コンクリート打設作業中、作業者1名が日射病に

一人親方あんしん労災 - 高温・低温の物との接触の労災事例

コンクリート打設作業中、作業者1名が日射病に


発生状況

本件労働災害は、ホテル増築工事現場において、コンクリートをならす作業をしている際、作業者1名が日射病になり、倒れたものである。

事故発生当日、被災者を含む作業者12名で、コンクリートポンプ車を用いて地下1階のコンクリート打設を行うこととなっていた。その際、コンクリートをならすためにバイブレーターを2本使用し、新規入場者である被災者はそのホースが障害物に引っかかるのを防ぐ作業を担っていた。本来の工事では午前中に30分の中休憩をとるが、この日はコンクリート打設作業のため、正午に1時間の休憩を1度だけ取るという作業手順であった。

作業が進んで昼休憩が終わり、工事を再開してから約1時間が経過した頃、突然被災者がひざまずいて、そのまま倒れてしまった。すぐに同僚が日陰に移動させて、酸素ボンベで酸素を吸入しようとしたが、意識が朦朧としていて吸入することができなかった。そのため急いで病院に運び、診断を受けたところ日射病によるものということであった。

当日の気温は35度であり、被災者が作業を行っていたコンクリート上は、直射日光を遮るものもなかったため39.5度となっていた。また、被災者の健康状況としては体質としてかなりの高血圧であり、胸部X線撮影においても心臓に異常箇所が見つかっていた。

原因・対策

本件労災は、炎天下作業における十分な休憩時間が設けていないなど、日射病を予防するような作業管理がされていなかったことや、作業者の健康状態に基づいた適切な作業を指示していなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、日射病の予防措置として、十分な休憩時間と水分補給、作業時間の削減等を施した適切な作業計画を立てることが重要である。また、新規入場者については必ず作業適否の確認を行い、健康診断の結果に基づいた適切な作業を担わせることである。