一人親方あんしん労災 – トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、操縦者が感電

一人親方あんしん労災 - 感電の労災事例

トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、操縦者が感電


発生状況

本件労働災害は、積載型トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、放電して運転者が感電したものである。

事故発生当日、被災者を含む作業者2名は、鉄骨造倉庫増設のためのコンクリート基礎工事を担っていた。まず、鋼単管を用いて型わくを作る作業にとりかかったところ、必要な単管が不足していることに気がついた。なので、被災者と作業者1名は積載型トラッククレーンを移動させ、空き地に置いてある単管を運ぶことにした。1人がワイヤロープで玉掛けを行い、被災者がクレーンを操縦して単管を巻き上げて旋回を行おうとしたところ、ブームが架空送電線に接近し、車体に交流33,000Vが放電してその電流で感電した。送電線には感電防止のための措置が施されていなかった。

原因・対策

本件労災は、クレーンのブームが送電線に接近する可能性があったにも関わらず、それに伴った適切な措置が行われていなかったことや、事前に単管の積み込みに関する作業計画が立てられていなかったために起きた災害である。

このような事故を防ぐために、送電線とクレーンのブームまたはワイヤロープ間に適切な距離を保つこと(特別高圧電線の場合は2m以上)や、あらかじめ作業計画を入念に作成し、電力会社との打ち合わせも十分に行うことが重要である。また、感電の危険性を十分周知した作業主任者を選任し、当該工事の監視をさせることも必要である。