一人親方あんしん労災 – スラブ配筋工事中に熱中症に

一人親方あんしん労災 – 高温・低温の物との接触の労災事例

スラブ配筋工事中に熱中症に


発生状況

本件労働災害は、マンション建設におけるスラブ鉄筋を配筋する工事中に発生したものである。当該スラブの床面積は11m×32mでスラブ面から高さ3m部分まで枠組み足場が設けており、全ての面にメッシュシートが張られていたため通気性が極めて悪い状態であった。

災害発生当日は前日と同様4階部分のスラブ配筋作業を行っていた。被災者は別の作業員と2人1組になり、運搬を相手に任せ配筋作業のみを行っていた。現場の通気性が悪かったため足場に張られたメッシュシートをまくろうとしたが、周囲が住宅で飛来落下防止のためできなかった。

作業開始からおよそ2時間後、被災者は気分が悪くなり「少し休憩する」と相手に伝えスラブで休んだ。このとき職長は5階のスラブ部分が直射日光が強く当たる部分であったため被災者に日陰に移動するよう伝えた。

これにより日陰に移動しようとしたものの被災者はすでに自力では動けない状態となっており、他の作業員に支えられながら日陰に移動した。その後も顔が赤く体調が回復しそうになかったため病院に向かったところ、熱中症と診断された。

被災者は61歳と高齢で、以前も屋外での作業中に気分を悪くしたことがあった。また当日の作業現場周辺地域では最高気温が30度以上の日が続いていた。

原因・対策

本件労働災害の原因は、猛暑の中通気性の悪い現場で作業をしていたことや、被災者が熱中症と気付かず日向で休んだことにより症状が悪化したことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、暑さの中作業する場合はこまめに休息をとり通気性も最大限配慮するよう心がけることや、熱中症に対する知識を学び該当する症状が現れた際には迅速に対応することが重要である。