一人親方あんしん労災 – エレベーター内で有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

エレベーター内で有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、エレベーター内の塗装作業中に作業者2名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、被災者2名でエレベーターの壁面および天井シートの張り替え作業を担っていた。現場監督は2人と作業手順を確認したあと、次の仕事があったため、現場を離れていった。まず、2人はエレベーター内部の払拭作業に取りかかった。エレベーターの扉を全開にして換気状態を保ち、1人が天井および壁面、もう1人は床面の払拭を開始した。そして一通り作業が済んだため、次は扉の内側の払拭を行うために、扉を閉めて作業を再開した。すると作業開始から5分後、被災者2名は有機溶剤中毒となり、その場に倒れてしまった。その1時間後にエレベーターの管理人が2人を発見し、無事に病院へ搬送された。

原因・対策

本件労災は、エレベーターの有機溶剤の濃度が基準を超え、それらを送気マスクを用いずに長時間吸い込んだことや、有機溶剤作業主任者を選任しておらず、適切な作業手順が踏めなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、密閉された空間で有機溶剤を用いた作業を行う際は、適度に換気を施し、濃度が基準値を超えないように工夫することが重要である。また、有機溶剤作業主任者を選任し、送気マスクを使用する等の適切な作業手順に則って、作業を行うことである。