一人親方あんしん労災 – 地下貯水槽において作業者3名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

地下貯水槽において作業者3名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、地下ピットの雨水貯水槽の防水処理作業中に、作業者3名がトルエン等による有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、被災者3名は地下にあるコンクリート性の貯水槽にて、壁面のプライマー塗布作業を担っていた。作業時間は5時間を予定しており、5つに分けられた貯水槽でそれぞれ1時間ずつ作業を行うこととなっていた。作業を開始して15分後、被災者3名は目の痛みを感じ始め、その後気分が高揚して笑い始めた。そのまま意識を失って病院に搬送されたところ、トルエン等の有機溶剤中毒であると診断された。

なお、作業中は送風機を2機使用していたが、外部に接続されていたのは1機だけであり、十分な換気は行っていなかった。また作業者の中に有機溶剤に関する知識を有している者はおらず、送気マスク等の有機溶剤対策を実施していなかった。

原因・対策

本件労災は、有機溶剤の知識を十分に有する者がいない中で作業を行なったことで、換気や送気マスクの使用などの適切な作業計画を立てていなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、密閉空間で有機溶剤を短時間使用する作業においては、作業者に送気マスクを使用させることが重要である。また、有機溶剤作業主任者を選任し、適切な作業計画を立てるとともに作業者へその有害性を十分に認知させることである。