一人親方あんしん労災 – 伐倒木の下敷きとなり死亡した災害

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

伐倒木の下敷きとなり死亡した災害


発生状況

災害が発生した、伐木、搬出の作業は事業場の代表者Aと、伐木を行う作業者Bおよび搬出等の作業を行う作業者C、D、Eの3名、合わせて合計5名で行っていた。災害が発生した当日は、伐木作業を行うBがケヤキ高さ1.2メートルの高さで幹回りが1.43メートル、高さ25メートルの伐倒作業と、玉切り作業をして、A、C、D、Eが既に伐倒され、玉切りされてところどころに集められている木材を、トラックで現場から運び出す作業を行うことになっていた。

作業者DとEは、遅れておりまだ現場に来ていなかったが、A、B、Cは午前8時頃から作業を開始していた。DとEは少し遅れて、午前8時10分頃現場に到着した。伐木作業をするBは既にケヤキをチェーンソーで切りはじめており、隣接木の枝がからんで山側(東の方向)へは倒せないのに気がつき、近くに来ていたAに伐倒方向について、相談した。

この時Aは、DとEが60メートルほど下の林道まで到着しているのを見たが、BはDとEが近づいているのに気がついていなかった。相談の結果、伐倒方向は南の林道の方向にすることとなり、Bは近くにいたAと建設機械のオペレーターで積み込み作業を行うCが山側に退避したことを確認して、午前8時30分頃から再度伐倒作業を始めた。

伐倒後Bが、玉切りのため、この伐倒されたケヤキに近づいた時、ケヤキの枝の下敷きになっているDとEを発見した。Dは伐採した木で即死、Eは病院に収容した後死亡が確認された災害であった。

原因・対策

災害が発生した原因は、伐倒をする際に、事前に合図がなかったこと、また伐倒方向に作業者のいないことを、伐倒をする際に十分確認されないまま伐木が行われたこと。被災者が伐木作業を行っている危険な作業場所に近づいてしまっていたこと。被災者が保護ヘルメットでの安全対策をしていなかったことが原因と考えられる。

安全対策は、伐倒作業を行う際に、伐倒をする開始する合図を定めるとともに、関係作業者が周囲に居ないよう周知するとともに、伐倒する者に合図を実施させ、他の作業者が退避したことを確認した後でなければ伐倒させないことに改善した。

伐倒作業においては、他の作業者が作業場所付近に近づき、伐倒木が接触するおそれがあることから、作業開始前に十分打ち合わせを行い、作業の手順、伐木作業を行う場所等について関係者全員に周知すること。関係作業者に対し、伐採、造材等の作業における過去の災害事例を交えた安全教育を事前に実施すること。作業者全員に保護帽のヘルメット着用を徹底させることにした。