一人親方あんしん労災 – 配管ピット内で酸素欠乏症に
一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例
配管ピット内で酸素欠乏症に
発生状況
本件労働災害は、工場の新築工事において、トイレ用配管ピットの型枠解体作業に取りかかった際、酸素欠乏症になり作業者1名が倒れたものである。
事故発生当日、被災者を含む作業者3名で、1階女子トイレの配管ピットの型枠解体作業を行うこととなっていた。職長による作業指示を受けたあと、被災者が配管ピットの様子を見るために中に入ったが、異臭を感じたためすぐに息を止めて外に出た。そこで、もう1人の作業者に内部の換気を行うための送風機を持ってくるよう指示を出した。送風機の到着を待っている間、被災者は改めて内部の状況確認するためにピットに入ったところ、やはり異臭がしたのですぐに外にでた。その後、少し休憩をしていたが、次第に気分が悪くなり、その場に倒れた。そこですぐに救急車を呼び病院で検査をしたところ、酸素欠乏症であることが判明した。
なお事故発生後、ピット内の酸素濃度を測定したところ16%であり、基準値よりも低い数値であった。内部は至るところに水滴がついており、湿度が高かった。
原因・対策
本件労災は、湿気や水滴が多い密閉された作業場は、微生物・菌類が繁殖しやすいため酸素が欠乏する可能性が高いにも関わらず、酸素濃度の測定を行わなかったのみならず、換気の実施、空気呼吸器の装着等の処置を施さなかったことが原因で起きた災害である。
このような事故を防ぐために、酸素欠乏危険作業を行う際は酸素濃度および硫化水素濃度の測定を行い、酸素濃度18%以上、硫化水素濃度10ppm以下に保つようにすることが重要である。それに伴い、換気や空気呼吸器などの対策を施し、作業者に酸素欠乏についての特別教育を行うことである。
掲載日:2019年11月23日