一人親方あんしん労災 – ドライアイスの運搬中、酸欠に
一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例
ドライアイスの運搬中、酸欠に
発生状況
本件労働災害は、ワゴン車でドライアイスを運搬している際に、作業者1名が酸素欠乏症になったものである。
事故発生当日、工場の機械の回転軸を冷却するために使用するドライアイスが不足していたため、被災者は業者から仕入れて運搬する作業を担っていた。通常は特定の業者から仕入れているのだが、その日は休日だったため別の業者に問い合わせをして被災者が赴くという作業手順だった。運搬に使用した作業車は、もともとは作業者を配送するためのワゴン車であり、荷室と運転席が分かれていない形状をしていた。
午後2時ごろ、業者から300kgのドライアイスを仕入れた被災者は車に積み込み、工場へ車を走らせた。しかし、午後6時になっても工場へ帰ってこなかったため、不審に思った他の作業者が軽自動車で被災者を探しに出た。すると、道路沿いに非常灯を点滅させたワゴン車を発見したため、急いで中を確認すると、被災者が助手席に蹲るように倒れていた。病院に搬送したところ、酸素欠乏により窒息したとのことであった。事故発生当時の外の気温は37.2度であり、ワゴン車の容積は約8.45立法メートルであった。
原因・対策
本件労災は、二酸化炭素を発生させるドライアイスを運搬する際に、荷室と運転席が隔離されていないワゴン車を使用し、換気を十分に行なっていなかったことが原因で起きた災害である。また、危険物の運搬においての適切な作業手順が定められていなかった。
このような事故を防ぐために、ドライアイスの取扱業務について適切な作業手順を作成し、車両の形状や換気措置等を適切に行うことが重要である。また、酸素欠乏に関する安全衛生教育を作業者に行うことである。
掲載日:2019年12月20日