一人親方あんしん労災 – 掘削溝が崩壊し生き埋めに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

掘削溝が崩壊し生き埋めに


発生状況

本件労働災害は、農具を収納する施設の建設中に発生したものである。当時の作業は、施設の地下部分に地下水が侵入しないよう水流に対して直角に排水パイプを埋設する工事であった。現場以前水田であり、約半年前に施設を建設するため埋め立てたもので土質は砂質土であった。

具体的には、深さ1.8m・幅0.8mの溝をドラグ・ショベルで勾配が90°になるよう掘削→パイプを溝の底に置く→パイプに土が入らないようパイプの上部に板を設置→土をかけ板を固定→ドラグ・ショベルで埋め戻すという作業手順で、これを何度か繰り返しパイプを繋ぎ足していくというものであった。

作業は被災者を含め2人で行われた。まずはじめに1人の作業員がドラグ・ショベルを運転し溝を水流と垂直の方向に掘削した。次にその作業員と被災者で溝に入り、パイプと板の設置を完了させた。

その後、被災者が溝の中に残っている状態でもう1人の作業員が埋め戻しを行うため先に溝から出て、ドラグ・ショベルに乗ろうとした際に溝の側面が大きく崩壊し被災者は生き埋めになった。

原因・対策

本件労災の原因は、土止め支保工を設置するなどの対策をとっていなかったことや、地質調査が行われていなかったこと、さらに埋め立てから半年しか経過しておらず湧き水がありながら安全な掘削勾配としなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、土砂崩壊の危険がある場合にはあらかじめ土止め支保工を設置することや、地質や湧き水の有無を作業前に調査することが挙げられる。また調査結果に基づき安全な掘削勾配をとることも重要である。