一人親方あんしん労災 – 塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、工場の増設工事の屋内塗装作業中に作業者1名が有機溶剤中毒になったものである。

本工事は3日間にわたって行われ、被災者を含む作業者4名は塗料用シンナーと第3種有機溶剤を含む塗料の混合物を用いて屋内の塗装作業を担っていた。被災者はこれらの塗料を混ぜ合わせてそれぞれの作業者へ配分する作業を行い、呼吸用保護具は使用していなかった。

前工程が終了した翌日、被災者に蕁麻疹症状が現れたため、病院で診察をしたところ、急性蕁麻疹および薬物性肝障害と診断された。本作業現場は扉や窓は開放されていたが、一部ビニールシートで囲われていたため、通気性が悪く、作業者はいずれも呼吸用保護具を着用していない状況だった。

原因・対策

本件労災は、作業者の有機溶剤の有害性への認識がないにも関わらず有機溶剤主任者が選任されておらず、十分な安全教育が行われていなかったことが原因で起きた災害である。また、十分な換気や呼吸用保護具の着用など、有機溶剤中毒の対策を講じていなかったことも要因の1つである。

このような事故を防ぐために、第三種有機溶剤を使用する作業現場においては十分な知識を有する作業主任者を選任し、適切な作業計画を立てることが重要である。また、作業者に対して安全教育を行い、当該作業の危険性を認知させるとともに対策を講じることである。