一人親方あんしん労災 – 作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒


発生状況

本件労働災害は熱交換器の溶断作業をしていた作業者24名が亜硫酸ガスおよび水銀中毒になったものである。

作業者は外側に無水硫酸ガス、内側に亜硫酸ガスが流れる熱交換器のチューブを溶断・交換する作業を担っていた。この熱交換器は亜鉛鉱の精錬過程において硫酸を製造するために使用されているものである。

工事開始前に亜硫酸ガスを排除したあと、それぞれのガスのフランジに遮蔽板を入れて溶断作業を開始した。なお作業者は直結式小型防毒マスクを着用していた。作業は進み、5日目の工程が終了した時に体の異常を感じる作業者が少しずつ出てきた。そして1週間が経過すると、1名が肺炎になり入院した。翌日以降は同じ症状を呈する作業者が続出し、最終的に24人が入院することとなった。検査の結果、亜硫酸ガスおよび水銀中毒ということだった。

原因・対策

本件労災は、体の不調を訴えた作業者が出たにも関わらず、作業を続行したことや、防毒マスクが劣化していたことが原因で起きた災害である。硫酸製造工程で配管内部に硫酸鉄塩が付着しており、それが溶断により熱分解されたことで亜硫酸ガスが発生した。また、水銀化合物がスラッジに含まれており、その蒸気を吸ったり皮膚吸収をしたことで体内に入ってしまったと考えられる。

このような事故を防ぐために、有毒物を扱う作業現場においてはあらかじめ設備内の付着物について調査を行い、作業者にその有毒性についての特別教育を行うとともに適切な保護具を使用させることが重要である。また、有毒物による体調不良を訴える作業者が出た際には直ちに作業を中止し、検査を受けさせることである。