一人親方あんしん労災 – 地下のサビ止め塗装中に作業者3名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

地下のサビ止め塗装中に作業者3名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、マンションの新築工事における地下の配管用ピットの塗装作業中に作業者3名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、被災者3名は地下の配管用ピット内の支柱にサビ止めの塗料を塗装する作業を担っていた。作業場は風通しが非常に悪く、小さな小窓が2つと出入り口のハッチがあるだけの状況だった。使用した塗料はキシレンが溶剤であり、作業者は口にタオルを当ながら作業を開始した。

午前中の作業は無事に終了し、午後の作業にとりかかった。すると終業時間が過ぎてからも被災者が地下から出てこなかったため、同僚が不審に思って状況を確認しにいくと、3名とも意識を失って倒れていた。急いで病院に搬送し、検査を受けたところ有機溶剤中毒であると診断された。

原因・対策

本件労災は風通しが悪い作業現場で換気の措置を施さず、呼吸用保護具等も使用していなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、地下のような通気が悪い空間で有機溶剤を用いた作業を行う際は、局所排気装置もしくは全体換気装置を使用するなどの措置を施し、十分な換気を行うことが重要である。また、事業者は有機溶剤の知識が十分である作業主任者を選任し、空気呼吸器や防毒マスク、皮膚への接触防止対策を講じるといった適切な作業計画を立てることである。