一人親方あんしん労災 – 地下倉庫の接着作業中、作業者1名が有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

地下倉庫の接着作業中、作業者1名が有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害は、地下作業場における部材の接着作業中に、作業者1名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、被災者は木造家屋新築工事において地下倉庫の床板を支える部材を接着する作業を担っていた。接着にはトルエン30%の下地強化剤とメタノール40%の接着剤を使用し、等間隔の貼付け箇所に押さえつけて貼り付けるというものだった。作業開始から4時間が経過し、休憩時間になっても被災者が地下から出てこないため、不審に思った同僚が様子を見にいくと、現場は刺激臭が充満しており、被災者は床に倒れていた。すぐに救出して病院に運ぶと、トルエン中毒であると診断された。

作業中は地下に繋がる出入り口は解放していたものの換気装置は使用しておらず、呼吸用保護具も使用していなかった。

原因・対策

本件労災は、通気性が悪い地下作業現場において有機溶剤を用いた作業を行うにもかかわらず、十分な換気を行っておらず、呼吸用保護具も使用していなかったことが原因で起きた災害である。また、作業主任者に有機溶剤に関する知識を有する者を選任していなかったため、適切な作業計画を立てていなかった。

このような事故を防ぐために、本現場のような通風が十分でない場所で有機溶剤を使用する際には、全体換気装置を使用するなどの換気を行うことが重要である。やむを得ない場合は呼吸用保護具を使用するなどの措置を施し、それらを指示できる作業主任者を選任することである。