一人親方あんしん労災 – 地下ピット内で酸素欠乏症に

一人親方あんしん労災 - 有害物質等との接触の労災事例

地下ピット内で酸素欠乏症に


発生状況

本件労働災害は、建設工事現場における地下ピットの型枠解体作業を行なっている際に、作業者2名が酸素欠乏症になったものである。

事故発生当日、被災者と事業主の2名は地下ピット内の型枠を解体する作業を担っており、地下に溜まっている水を抜き出すことから始めることとなっていた。揚水ポンプで10分程度水を汲み上げ、被災者が地下に降りて解体作業を開始しようとしたところそのまま床に座り込み、動かなくなってしまった。地上からそれを見ていた事業主は救出に向かうために自身もハシゴで地下に降りて行ったところ、同様に被災してしまった。

事故が発生したピットは、コンクリート打設養生のため雨季に2ヶ月ほど放置されていたため内部に水が滞留してしまい、そこに細菌が繁殖したことが酸素欠乏状態となった原因であると考えられる。

原因・対策

本件労災は、当該作業現場の酸素が欠乏状態である可能性を考慮せずに作業を開始したため、適切な対策を講じることができなかったことが原因で起きた災害である。また、酸素欠乏症に関して十分な知識を有する者が指揮をとっておらず、酸素濃度の測定等も行なっていなかった。

このような事故を防ぐために、当該作業現場においては作業指揮者に酸素欠乏危険作業主任者等、十分な知識を有するものを選任し、作業者にその危険度を認知させることが重要である。今回の場合、作業前に酸素濃度を測定し、常に18%以上となるように換気を施すことである。