一人親方あんしん労災 – コンクリートポンプ車の輸送管を洗浄作業中に、洗浄用ボールが飛び出し作業員が被災

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

コンクリートポンプ車の輸送管を洗浄作業中に、洗浄用ボールが飛び出し作業員が被災


発生状況

今回の災害は、砂防ダムの工事現場にて、砂防ダムの型枠に生コンクリートを打設するために使用した、コンクリートポンプ車の輸送管洗浄作業をする際に発生しました。

本工事は、コンクリートの輸送管の設置作業を甲社が実施し、生コンクリートの打設作業を乙社が、それぞれ元請けの丙社から依頼を請けおっていたもので、災害発生前日までに3カ所の型枠のコンクリートの打設作業を終了していた。災害発生当日は、朝から甲社の作業者3名が、コンクリートポンプ車から生コンクリート打設をする場所まで約150mにわたり、輸送管の5インチ管)を設置した。輸送管の設置後、乙社の事業主と被災者A、同僚B、Cの計4名で、生コンクリートの打設を実施した。

打設終了後、甲社の作業者3名が、輸送管内に残っている生コンクリートの排出および輸送管内の洗浄作業を始め、生コンクリートの排出作業の手順は、まず、ポンプ車側についている水洗用管ストッパーで生コンクリートの逆流を防止処置をしてから、ボールと呼ばれる硬質ゴム製のクリーナーピストンとスポンジ2個をポンプ車側から輸送管へ挿入して水圧でボールを送り、予定した量の輸送管内に残留している生コンクリートを型枠内へ排出したところで、送水を一時止めすとともにボール、水が型枠内に入らないように輸送管を型枠から外してから、再び水圧をかけてボールを送り、輸送管先端からボールを排出する、作業であった。

輸送管内の洗浄作業にあたっては、ポンプ車のオペレーターDと輸送管をラチェットレンチでたたきながらボールの位置を調べる作業者Eおよび型枠の中へ生コンクリートが入る作業を見張る作業者Fの3名で作業を行い、洗浄作業を開始したところ、水洗用ストッパーから水が噴き出したため、ポンプ車のエンジンを一時止めるとともに、水洗用管ストッパーを取り外し、代わりに1m管1本を取り付け、再度ボールを圧送した。ボールが輸送管の先端から残り約12mの位置に来た時、生コンクリートで型枠内がいっぱいになったので、ポンプ車のエンジンを止め、Eがホースのジョイントを外して水洗用ストッパーを1m管に取り替え、その時、空気があったのでその空気を抜く作業を行った。

一方、Fは生コンクリートが型枠の中に入らないようにするため輸送管の先端の型枠から外し、輸送管の先端を人がいない方に向け、輸送管が動かないように足で押さえていた。乙社の事業主およびB、Cは、型枠の北側で、Aは南側で、それぞれ打設後のコンクリートのならし作業を行っていたが、EがDに再度水圧をかけるように指示し、Dが水圧をかけたところ、突然、輸送管の先端から水煙が上がり、輸送管の先端から洗浄用ボールが飛び出し、約15m先でならし作業を行っていた作業員Aにボールが当たって災害になったもの。

原因・対策

災害が起きた原因は、輸送管内に空気が混入したことで、作業者に洗浄用ボールの飛来のおそれのある区域に立ち入らせてしまい、輸送管内に空気が混入するおそれがあったにもかかわらず、輸送管の先端に洗浄用ボール飛び出したさいの防止金具を装着しなかったことから災害が起きてしまった。

対策は、水洗の場合も空洗の場合と同様、洗浄用ボール飛び出し防止金具を事前に装着して、輸送管の洗浄作業中は、洗浄用ボール等の飛来の恐れのある区域には作業員の立ち入を禁止することにした。

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一人親方あんしん労災 – クレーンのつり荷が足場に落下するとともに2人が足場より墜落して死亡したもの

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

クレーンのつり荷が足場に落下するとともに2人が足場より墜落して死亡したもの


発生状況

災害の発生した工事現場は、事業場事務所に用いるための鉄骨造り2階建ての建築物で高さ12.7mを新築する工事中に、災害発生当日は前月に引き続き、鉄骨組立作業を実施した。作業は甲、乙、A社所属の丙の3人で、午前8時半頃から工事を始め、午前中に大柱の建方、梁の取付けなどを行い、午後2時ごろには現場に搬入されていた鉄骨材料の取り付けが全て終了した。

作業の指揮者である甲は、あらかじめ本締めのためのボルトを梁に上げておこうと考え、鉄骨材料をつり上げるために現場に来ていた20トン移動式クレーン、B社所有で運転手丁に作業させ、ボルトの入った段ボール箱を梁上につり上げることにした。 まずはじめに段ボールを吊り上げるために、甲が玉掛けを行って屋上梁上に足場板5枚、2階はり上に足場板6枚をつり上げ、次に甲と丙は地上で段ボールを鋼製足場板で、床付き布わくの上に総重量540kgで18袋を、3段に積み重ねた。箱の上には雨よけのためのシートをかぶせ、番線で箱に固定したが、箱自体を布わくに固定させるなどの処置をとらなかった。また、ワイヤロープは長さ4m、直径12.5mmのものを使用して、このワイヤロープを2本布わくのつかみ金具に結びつけ、各ロープの真ん中をクレーンのフックに引っかけつり上げた。

始めに屋上の梁の上に敷いた足場板の上に、布わくにのせたボルト入りの段ボール箱をつり下ろした。次に2階はり上の足場板の上にのせるため、前と同様、甲と丙が布わく上に段ボールを18個3段に積み重ね、シートをかぶせた後、甲が玉掛けをして、ロープをフックにかけ、少しつり上げたところで甲は2階梁の上に登っていった。2階の足場板上では、乙がクレーン運転士丁に対し、つり下ろしの合図をしていた。ところが布わくが足場板の真上に来た時、屋上梁に、吊り上げたものが接触して傾き、荷の段ボール箱が、屋上梁からくずれ落ち、約3m下の2階梁上の足場板4枚を破損し、このため足場上に少し前に登っていた、作業員甲が約6.7m下のコンクリート床に墜落して死亡した事故が起きたもの。

今回の災害には、1つ目は、当該建物の鉄骨構造は、その高さが5m以上であるにもかかわらず、鉄骨の組立等作業主任者を選任せず、作業計画を定めていなかった。2つ目は、合板足場板は結果として、作業構台として使用され、作業構台ならば組立図を作成し、最大積載荷重を定め、周囲に手すりなどを付ける必要があった。3番目は、甲、乙とも安全帯を着用していたが、取り付ける親綱などがなかったため結果として使用されなかった。A社では仮締め作業終了時に、本締め作業のためのつり足場および防網を設置する計画であり、災害発生時はまだ仮締めの段階であり設置されていなかったものであった。4つ目は、玉掛けは甲が行い、乙がつり下ろしの合図をしているが、甲は玉掛技能講習を修了しているものの乙は無資格者であった。

原因・対策

事故が起きた原因は、つり荷が荷くずれしやすい状態であったが、十分な措置をせず荷物をつり上げたこと。つり下ろしの合図をしていた乙は玉掛けの無資格者であり、合図等のやり方が未熟な点があったと思われ、クレーン運転手丁からははりなどがじゃまとなって、合図者の合図が見えにくかったこと。作業構台の強度が弱く問題があったと思われること。作業構台を設置したものの、手すりもなく、また、安全帯を取り付けるための設備も準備していなかったこと。 鉄骨組立等作業主任者は配置せず、作業方法の指揮などを行う者が居なかったことであった。

再発防止対策は、クレーンによりつり下ろし作業をする場合には、下ろす場所がはりなどが交錯し、かつクレーン運転手より視野が妨げられるような場合には、つり下ろし場所に近く、なおかつ運転手がより良く見える場所に配置する事、更に十分な技能を持った玉掛技能有資格者が合図を実施すること。作業構台の強度を持ったものにすること。荷くずれする恐れのある荷物について、もっこや、つり箱などを使用すること。仮締めなどで防網の設置が困難な場合でも、親綱など安全帯の取付け設備を設置するなど墜落防止の措置を講じること。鉄骨組立等作業主任者を選任し、作業方法および作業者の配置を決定させ、作業の指揮などを事前に作成すること。

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一人親方あんしん労災 – 木材の引き降ろし作業中に木材が落下した労災事故について

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

木材の引き降ろし作業中に木材が落下した労災事故について


発生状況

労働災害が発生した場所は、木造家屋建築工事業者の木材加工作業場でした。災害発生当日の朝、事業主Aと被災者Bは、木材加工作業場で、木片や木くずの片付けおよび木材を置くための台の設置準備をいていたところ、午前9時ごろに木材の購入先から工事用木材を積載した4トントラックが到着した。工事用木材を積載したトラックは荷が2カ所でロープ掛けされており、木材と荷台は緊結された状態で運送されていた。

木材を運送してきた運転手Cがロープを外した後、午前9時30分ごろより、事業主A、被災者B、運転手C、作業者Dの4名で木材をトラックの荷台より降ろす作業工程に取りかかった。木材を降ろす作業は、運転手Cが荷台の上に登り、運転席の上方から荷台にかけて斜めに積んだ木材をトラック後方へ引きずり降ろし、他の3名で角材を敷いた置台がある場所まで木材を持って運ぶというやり方で実行された。

作業者全員が保護帽を着用し、4本の木材を台まで運んだ後、5本目の木材も前の4本と同じ方法で降ろそうとしたところ、重量があるため、滑っていかなかった。そこで、前に降ろした4本の木材を重ねて台にして、その上面に滑らせて降ろすという作業に変更でき、トラックを台の方へ近づけることにした。

午前9時40分ごろ、Cがトラックを運転し、後退の合図をDがトラックの右後方で行っていたが、トラックを約1m後退させた時、突然、ドドーンという音がして、降ろそうとしていた木材がトラック右側に落下し、運転席の外側に立っていたBに直接当たったため、Bは木材を抱え込むような状態で仰向けに倒れこんだ。なお、Bが着用していた保護帽は、中央部が直径約10cm、深さ約4cmへこんだ状態で、運転席右前方約2mのところに転がっていました。

原因・対策

災害対策は、トラックに積載した荷が落下または荷崩れするおそれのある場合には、短距離の移動であっても必ずロープ等で荷台に固定すること。

2つ目は、荷の落下等により作業者に危険を及ぼすおそれのある範囲内には、作業者を立ち入らせないようにすることことが大切です。

3つ目は、作業を開始する前に作業の方法等の作業計画を定め、当該作業計画により作業を行うとともに、関係作業者全員に周知させることが必要です。また、当該作業の指導者を定め、作業計画に基づき作業の指揮を行わせること。

4つ目は、誘導者を配置しすることで、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせることが必要です。

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一人親方あんしん労災 – 新築工事で外壁取付工事中に足場から墜落した事故

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

新築工事で外壁取付工事中に足場から墜落した事故


発生状況

本件災害は、新築の鉄骨造り平屋建ての店舗工事において外壁材の取付工事をしている際に発生した事故になります。

この工事は、甲社が元請けの乙社から請け負っていたものであり、災害発生前日から躯体の防火用外壁の取付工事をしていた。災害が起きた当日は、作業開始前のミーティングで、甲社の作業員A(被災者)とBが躯体東側の、面戸といわっる屋根と外壁の取合い部分をふさぐものを取付作業中に、躯体西側柱上部の水切りと言われる、屋根と外壁等の突き付け部分の防水板を、防火サイディングの取付作業をすることになり、作業が始まりました。

作業を始めて1時間ほど経過し、躯体東側の面戸取付作業を終了した作業員AとBは、予定通り躯体西側へ移動し、露出した柱の上部へ防火サイディングおよび水切りを取り付ける作業を開始した。2人は水切り用鉄板、防火サイディング用化粧板等の資材及びカッター等加工用機械を準備して、躯体の北側から5番目と6番目の柱の間に設置されていた枠組足場の2段目の鋼製布枠上に仮置きしてから、6番目の柱から作業を始めました。Bが水切りの取付作業中に、Aが水切り取付箇所の防火サイディング取付作業に各々分かれ作業を進め、柱の水切りは、地上4.5mの柱と桁との取合い部分に帯状に取り付けるもので、その上に防火サイディングを取り付ける手順となっていました。

6番目の柱の水切り取付け後で、7番目の柱の水切り取付作業に移ったBは、途中で水切り用鉄板が足りなくなったため、6番目の柱の北側のブラケット足場上で化粧板の加工を行っていたAに対し、5番目と6番目の柱の間の枠組足場上に仮置きしてある水切り用鉄板を持ってくるよう依頼した。Aが5番目と6番目の柱の間に設置されていたブラケット足場に向かって歩いて行ったところ、足場板が持送り枠にかけ渡されていなかったことから足場板が支柱から外れて墜落し、作業員が死亡したもの。

躯体周囲の足場は、元請けの乙社により災害発生日の概ね約2週間前に設置されてから、躯体東側および南側は3段、西側および北側は2段であり一部3段になっているが、幅は60cmあった。また、柱が外に露出している躯体西側は、枠組足場と躯体壁面との間隔が広いため、幅50cmのブラケット足場が地上2.83mの位置に設置されていました。

本ブラケット足場は組み立てられた当初に、鋼製の足場板が2枚敷きで、三点にかけ渡されていたが、柱周りの防火サイディング取付作業に支障があるので、一枚敷きとして三点支持の両端をゴムバンドで固定して使用していた。なお被災個所の歩み板は中央だけゴムバンドで固定されていた状態であった。

原因・対策

事故が起きた原因は、1つ目が、ブラケット足場にかけられていた足場板が、転位、脱落しないよう2つ以上のブラケットに固定されていなかったこと。2つ目は、ブラケット足場を利用して行う作業の開始前に、足場の固定状態を点検していなかったためでした。

今後の対策は、足場を利用して作業を行う際には、作業を開始する前に、床材の取付け・かけ渡しの状態等を良く点検するとともに、床材が転位も、脱落もする恐れがないことを確認する体制にしたことと、床材は、転位、脱落しないよう2つ以上の支持物に確実に固定することを再発防止策にした。

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一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルのバケットに乗っている際の転落災害

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

ドラグ・ショベルのバケットに乗っている際の転落災害


発生状況

災害が発生した工事現場は、農業用地を造成する工事で山地斜面を開懇し、畑地を造成する工事で、工事はほぼ終了していたが、造成工事中に雨水等によって土砂が流出し、農業用地の周辺部に沿った農業用水路に土砂が堆積していた。水路内の土砂を除去するので、ドラグ・ショベル1台、トラクターのけん引方式によるダンプトラック1台を使用し作業者3名で土砂の除去作業を実施した。

農業用水路の深さは1.7mあったが、厚いところではおおむね2分の1ほど土砂で埋まっており、 土砂の除去作業は、農業用水路沿いの築堤上に設けられた道路上を、ドラグ・ショベルを移動させながらバケットですくい取り、ダンプトラックに積んで近隣の土砂捨場に運ぶ方法で実施した。

災害発生当日、ドラグ・ショベルの運転手は、農業用水路内の土砂をすくっては道路の路肩部分に下ろして、トラクターの運転手は、ダンプトラックをけん引して、50mほど離れた土砂捨て場に土砂を捨てに行く作業をしていた。被災者は、農業用水路の中でドラグ・ショベルのバケットが土砂をすくいやすいよう、農業用水の土砂を集め土砂捨て場が土砂でいっぱいになり、土砂を捨てる場所がなくなったので、被災者に相談したところ、被災者は確認のため農業用水路の側壁を登って道路上に上がろうとした。しかし、登りきれなかったため、ドラグ・ショベルのバケットに乗って道路上に上がることにした。ドラグ・ショベルの運転手は、被災者をドラグ・ショベルのバケットに乗せ、アームを上昇させながら旋回し、道路上にバケットを降ろそうとしたところ、被害者がよろめくようにして用水路に転落して死亡したもの。

原因・対策

死亡の原因は、農業用水路から道路上に昇降するためのはしご等の昇降設備が設けられていなかったことで、登れなくなってしまったこと。ドラグ・ショベルのバケットに作業者を乗せて運搬しようとしてしまったこと。ドラグ・ショベルの運転者が無資格で作業してしまったこと。被災者が保護ヘルメットで頭を防御していなかったことで災害を防げなかった。

事故防止対策は、農業用水路から道路上に昇降するための安全な昇降設備を事前に準備しておくこと。ドラグ・ショベルのバケットに作業者を乗せて運搬しないよう徹底する。ドラグ・ショベルの運転は、有資格者に行わせること。作業員には保護ヘルメット装着させ作業にあたること。車両系建設機械の運転者の資格の有無、特定自主検査の実施状況について、元請業者の段階で事前にチェックするなど統轄安全衛生管理体制を確立する体制を構築する。

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