1. ホーム
  2. 労災事例

建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

カテゴリー


一人親方あんしん労災 – 高所作業中に歩み板から足を滑らせ墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

高所作業中に歩み板から足を滑らせ墜落


発生状況

本件労働災害は、木造家屋の基礎工事が終了し、柱や梁を組み立てる建前工事に移行したときに発生した。現場ではまず移動式クレーンで妻梁に軒桁を配置し、その後ぴったりとはめるため木槌を打つという方法で桁組作業を行うことになっていた。

被災者は妻梁と軒桁の間に幅23㎝の歩み板を架け、その上に乗って木槌でつなぎ目を打ち付ける作業を担当していた。はめ込む部分が足元近くであるため不安定な中腰姿勢で打ち込みを行なっていたところ、力を入れすぎたことでバランスを崩し転落してしまった。

事故後の調査で、被災者は高さおよそ8mの場所で作業していたにもかかわらず、親綱の取り付け、安全帯の装備といった落下を防ぐ安全対策を怠っていたことが判明した。さらに事故発生の直前まで他の作業員数人と飲酒していたことも明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、危険な作業のひとつである建前工事の直前に飲酒してしまったこと、高所で作業する際の安全対策がなされていなかったことが挙げられる。また幅の狭い歩み板で長時間作業したことや、現場を指揮する主任者の管理が甘かったことも起因している。

このような災害の対策として、主任者は作業員に対し工事前・工事中の飲酒を徹底的に禁じ、また不安定な場所では長時間作業させないよう常に目を配る必要がある。さらに足場の設置が難しい高所の現場では、必ず安全帯と親綱の設置、保護帽の着用といった落下を防ぐ安全対策を行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – ブルドーザー運転中に車体が横転、斜面を落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

ブルドーザー運転中に車体が横転、斜面を滑落


発生状況

本件労働災害は、ブルドーザーでかきおこした山の土砂をドラグ・ショベルでダンプカーに積載し、作業場所まで運ぶという作業中に発生した。掘削した山はかなりの急勾配であり重機を多く用いることも踏まえ、現場には車両を通行させるために頂上から整備された迂回路を用意していた。

被災者はブルドーザーで山の土砂をかきおこしていたが、途中で燃料が切れ車両の動きが止まったことから、作業を中断して給油車を山のふもとまで呼び出した。到着後、被災者はまず歩いて給油車のもとへ行き、少量の燃料を調達しブルドーザーに入れてから、さらに燃料を補給するためブルドーザーを運転してふもとまで降りることにした。

ブルドーザーでふもとに向かう際、より運転する距離を短くしたいと考えた被災者は、車両専用の迂回路ではなく急斜面の山を真っ直ぐ下ることにした。このとき排土板で道をならしながら山を下っていたが、途中で突き出した岩に乗り上げてしまい、車体は横転し山道を滑りながら転落した。

原因・対策

本件労災の原因は、迂回路を通らず危険な斜面を下ったことと、岩の存在を知らせるといった安全を確認する作業員が周囲にいなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、重機を運転するときには安全を第一に優先し危険な道は通らないことや、作業場所の安全を確認する常駐者を置くことが挙げられる。さらに作業途中に燃料切れを起こさないよう、運転前に必ず点検を実施する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 2階建事務所の解体中に床を踏み抜き、落下の労災事例

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

2階建事務所の解体中に床を踏み抜き、落下


発生状況

本件労働災害は、2階建て事務所の解体工事現場において、作業者1名が床を踏み抜き、3メートルほど落下したものである。

作業内容は建物内の家具の処分、鉄骨の切断と部屋の仕切りを撤去するものであった。作業者は全体で6名おり、現場責任者は設けられず、社長も細かな指示を出すことなく業務に取り掛かった。さらに現場作業者全員が解体工事の経験が浅く、鉄骨組み立ての資格を持つ者もいない状況だった。

事故発生当日は朝から作業を開始し、被災者は2階の畳の撤去作業から取り掛かっていた。床板に足を踏み入れたときに床が抜け、3メートルほど落下してコンクリート製の地面に叩きつけられた。なお、被災者が踏み抜いた床板は、前日の作業でできた開口部に面しており、他にもそのような床板が存在した。

原因・対策

本件労災は、現場に解体作業を熟知している作業者がいない状況の中で、現場責任者がおらず、細かな作業の手順も設けられなかったことが原因で起きた災害である。そのため、床板の老朽化や開口部の状況などを把握することができず、作業者が被害を負ったこととなってしまった。

このような災害を防ぐためには、鉄骨組み立ての作業主任者等の資格を取得した者を作業責任者として配置し、直接指揮をとることができる状況を整えることが大切である。そして、作業責任者による安全教育の下、建物の構造の調査や工具の点検、前日作業の引き継ぎなどを行うことがとても重要である。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルをトラックから降ろす作業中にドラグ・ショベルが転倒

一人親方あんしん労災 – 墜落・転落の労災事例

ドラグ・ショベルをトラックから降ろす作業中にドラグ・ショベルが転倒


発生状況

本件労働災害は、防護柵設置工事の現場にて、トラックの荷台に積まれたドラグ・ショベルを降ろす作業中に、ドラグ・ショベル本体が転落し、運転手が下敷きになった事案である。

災害発生当日は、防護柵設置工事初日であったが、積雪があったので作業は中止し、元請けの現場責任者とのブリーフィングだけ行われた。翌日から作業開始が決まったので、それぞれ必要な箇所の話を聞いてきたが、トラックで運搬してきた運転手は、荷台のドラグ・ショベルを降ろす作業をひとりで行っていた。

工事現場の入り口は上り坂で、トラックを坂の途中で止めてアウトリガで荷台に傾斜を作り、ドラグ・ショベルを降ろし始めた。まずは荷台からアームを伸ばして地面を捉え、押し付けながら前進。クローラーが地面に付いた時点で180度旋回し、そこからトラックにバケットを押し当てようとしたところ、滑って転倒。そのままトラックから落ちて運転手が下敷きとなった。

被災者である運転手は技能講習を修了しており、普段から災害発生時と同じ方法でドラグ・ショベルを積み降ろししていた。

原因・対策

本件労働災害は、ドラグ・ショベル降下の際に道板をしようするなど、安全対策を怠ったことに加え、単独作業であったことと、積雪に寄る滑走の危険があることへの対策不足が挙げられる。さらに、トラックを停止させた位置が、上り坂であったために荷台の傾斜が必要以上についていたことも考えられる。

このような事故の対策として、重機の積み降ろしは平坦な場所で行うことと、単独作業をせず作業指導者の指揮のもとで行うことが挙げられる。道板をしようするさいは、道板の強度や長さなどが適切なものを使用することも考慮する必要がある。


一人親方あんしん労災 – スレート屋根を踏み抜き墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落の労災事例

スレート屋根を踏み抜き墜落


発生状況

本件労働災害は工場の屋根葺き替え工事中に、作業員が踏み抜いて約7m下の工場の床へ墜落したものである。

災害当日は元請現場管理者のほかに、葺き替え作業員が3名、防網を張るための鳶が2名、クレーンの操縦者が現場入りしていた。

まず鳶が防網を張る作業をして、そのあと吹き替え作業員が作業をする予定になっていたが、防網を張る作業に時間がかかっていたため、作業員3名はまず下準備を開始した。幅の狭い歩み板が8枚準備されていたので、2枚は物資仮置き用に、残り6枚を歩み板に使用するために施工箇所へ設置していった。

鳶の作業が途中まで終わり、防網が張られた箇所から葺き替え作業を開始した。しかし防網は元請現場管理者の指示の下で、葺き替え作業する箇所周辺の一部にしか張られていなかった。歩み板も6枚と現場の規模にしては不足していた。作業員たちはそのまま葺き替え作業をしていたが、葺き替え作業員2名がスレートが割れる音を聞いたため、もう1名の作業員を探しに行くとスレートを踏み抜いて工場の床に墜落していた。

葺き替え作業員たちは安全帯の装着はしていたものの、それを使用する設備が現場にはなかった。

原因・対策

本件労災は、スレートなど踏み抜きの可能性がある屋根の葺き替えにも関わらず、歩み板の枚数が不足した上、幅も狭いものだった。また安全帯の親綱などの設備の準備を怠ったことに起因している。

このような災害は、作業箇所全体に耐久性のある防網を設置することと、幅も数も充分な歩み板を準備することで対策がとれる。さらに、安全帯が的確に使用できるようにし、墜落防止措置を充分にとることである。

カテゴリー