1. ホーム
  2. 労災事例

建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

カテゴリー


一人親方あんしん労災 – 送電線の点検作業中に感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

送電線の点検作業中に感電


発生状況

本件労働災害は、送電線の点検工事中に発生したものである。作業内容は、地上部分にひびや傷みがないかどうか点検→安全帯を電柱に掛け上部に登る→電柱の中央部分でアース線からアースの抵抗値を点検→支持電線や碍子の目視確認→柱から降りるという流れで行われた。

現場には作業員が4人おり、作業は2人1組になって行われた。被災者は電柱を登って点検する担当になり、地上部での点検を済ませると安全帯を電柱に掛け電柱の上部に登った。アースをとってさらに上へと登るところで、被災者は支線に錆びつきが見られることを確認したためこの様子を記録しようと撮影を試みた。

この時近くに送電線の縁まわしが輪になって垂れていた。被災者はコンクリート柱で移動しようと安全帯の補助綱を外した上で本綱もはずしてはかけてを繰り返していた。ところがしばらくして、本綱が外れた状態でバランスを崩した被災者は縁まわしに触れてしまい、感電した。

縁まわしと被災者は水平距離で115cmしか離れておらず、また災害発生当時地上で現場を監視を担当していた作業員は、書面の記入にあたっており被災者の作業する様子を確認していなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、停電作業にしなかったことや安全帯の使用方法が適切でなかったことなどが挙げられる。また被災者が接近限界距離を守っていなかったことや地上にいた作業員による監視が甘かったことも起因している。

このような災害の対策として、感電の恐れがある現場ではできるだけ停電作業にすることや、安全帯は補助綱を外さないようにすることが重要である。さらに活線に近づいて作業しなければならない場合には高所作業車を用いることや、監視者は自らの役割を果たせるよう他の業務と重ならないよう事前に調整することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 電動機の絶縁不良で感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

電動機の絶縁不良で感電


発生状況

本件労働災害は、業務用の冷蔵庫をビルの1階に取り付けるためコンクリート床に配線用の穴を開ける作業中に発生したものである。床のコア抜き作業には4人の作業員が従事し、そのうち2人はコアボーリングマシンの操作を担当し、被災者を含む残りの2人が地下1階の天井裏で床の切断部分を受け取る作業を担当することになった。

作業開始からしばらくして、1階の床部分に張られた鉄筋を切断するためコアボーリングマシンの代わりに手持ちディスクグラインダを使用することになった。被災者は空調用ダクトに乗り切断作業を開始したが、途中でのどと背中の左側に電流が流れ感電してしまった。

ダクトは高さ40㎝・幅90㎝ほどで、1階の床下までは高さ1.1mほどであった。このダクトは導電性が高い金属はくと金網で覆われており、被災者が使用したディスクグラインダは電動機が焼けてしまっており絶縁不良の状態であった。

原因・対策

本件労災の原因は、研磨用のディスクグラインダで鉄筋を切ろうとする際に電動機に大きな負荷がかかり、結果として熱を帯び絶縁不良になってしまったことや、手持ちディスクグラインダの電源道路に感電を防ぐための漏電遮断機を取り付けていなかったことが挙げられる。また金属製の外枠を接地していなかったことも起因している。

このような災害の対策として、導電性の高い場所で作業する場合には必ず感電防止漏電遮断機を接続することや、電動機に過剰な負荷がかからないよう電動使用器具は使用目的に合うものを使うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 溶接棒ホルダーの充電部が露出して感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

溶接棒ホルダーの充電部が露出して感電


発生状況

本件労働災害は、型枠のセパレーターと鉄筋を溶接する作業中に発生したものである。この事業場では機械の製造を行う工場の増築工事に携わっており、機械据付のための基礎工事のうち床溝、ピットの枠部分に取り付けるL字鋼を寸法通り切断し、アーク溶接を行う作業を担当していた。

被災者は型枠のセパレーターと鉄筋とを溶接するため鉄筋と型枠の間に入り込んでかかんだ姿勢になった。作業場所が窮屈であったため左腕を常に鉄筋に接触させたままであったが、被災者は構わずアーク溶接を始めた。ところが作業開始からしばらくして、使用していた溶接棒ホルダー絶縁部分が破損してしまったため被災者は感電した。

原因・対策

本件労災の原因は、溶接棒ホルダーの充電部分が露出してしまっていたことや鉄筋など導電体がすぐ近くにある作業場所であるにも関わらず交流アーク溶接きに自動電撃防止装置を使っていなかったことなどが挙げられる。さらに作業員は汗をかいていて、電流が体に流れやすい状況であったことも起因している。

このような災害の対策として、溶接棒ホルダーの絶縁覆いは定期的にチェックし異常が見られれば速やかに補修や交換といった対策を講じることと、導電体に囲まれたような作業場所では必ず自動電撃防止装置を使用することが重要である。

また作業員が汗をかいた場合は直ちに拭き取り、服が濡れた場合には着替えを徹底させ電気が通りにくい状態を保つことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 高所作業車に乗った作業員が送電線に触れ感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

高所作業車に乗った作業員が送電線に触れ感電


発生状況

本件労働災害は、一軒家の新築工事で左官作業を行っている際に発生したものである。現場には建物と12mほど離れた間隔で、それぞれ高さ11.5m・14m・16.7mの位置に75000ボルトの送電線があった。

被災者らは高さ14mのエレベーター室の屋上で防水下地のモルタルを塗装する作業を行うため、高所作業車でモルタルを地上から足場の最上部に運ぶことになった。作業方法は被災者を含む作業員2人が高所作業車に乗り、ブームを動かして建物側に回り足場の頂上まで持っていくというものだった。この時現場には監視員を配置していなかった。

モルタルを塗る作業が終了したところで、被災者は高所作業車をエレベーター室からひさしにあたる部分まで動かすため、自分の背後にあたる送電線のある方へ作業床を旋回させ始めた。しかし150°ほど回ったときに高さ14m部分にある送電線に触れてしまい、被災者は感電した。

原因・対策

本件労災の原因は、危険な区域が作業員から見えていなかったことから適切な安全確認ができなかったことと、高所作業車の移動範囲内に送電線があったにもかかわらず作業床を移動させたことが挙げられる。

このような災害の対策として、作業範囲に危険な場所を含む場合は現場を監視し状況に応じて指示を出すための作業員を置くことが重要である。また高所作業車を使用して作業するときには、工事を開始する前に現場の地形や状況を確認しそれに応じた適切な作業計画を立てる必要があり、またそれに基づいた作業を徹底することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 絶縁用保護具を着用せず、き電線に触れ感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

絶縁用保護具を着用せず、き電線に触れ感電


発生状況

本件労働災害は、高圧電線の張り替えを行う工事で、絶縁用防具を取り外す作業中に発生したものである。作業手順は、作業場所近くの鉄道のき電線に絶縁用防具を取り付ける→高圧電線を交換し、がいしを取り替える→鉄道のき電線に取り付けた絶縁用防具を外す、という流れで行われた。

災害発生当日、現場には電気用安全帽・電気用ゴム手袋・絶縁衣・電気用長靴が用意されており、作業を始める前に必ずこれらの絶縁用保護具を身につけるように責任者が確認を行なった。指導を受けた被災者は、これらを着用して絶縁用防具を取り付ける作業を行なった。

しかしその後の高圧電線の交換は停電作業であったことから、被災者は保護具のうち電気用ゴム手袋と絶縁衣を外して作業を開始した。その後絶縁用防具を取り外すときに、ゴム手袋は着用したものの絶縁衣を身につけなかった被災者は、き電線に取り付けた絶縁管を外し他の作業員に受け渡す作業中に、き電線の充電部に触れ感電してしまった。

災害発生当時、作業の責任者は別件で事務所へ引き上げており不在であった。

原因・対策

本件労災の原因は、被災者が絶縁衣を着用せずに作業を行なったこと、当日の天気は曇りで気温33℃・湿度約80%と高温多湿であったにも関わらず、着用の指導が弱かったことが挙げられる。さらに指示を出した責任者が作業当時不在であったことも起因している。

このような災害の対策として、まず絶縁用防具の装着・取り外しを行うときには必ず絶縁用保護具を身につけることが前提として挙げられる。また作業場所が高温多湿である場合保護具の着用が不確実になることを勘案し、責任者は着用の指示を徹底し、作業中も随時作業員の服装を確認する必要がある。

カテゴリー