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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – クレーンの吊り荷が落下

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

クレーンの吊り荷が落下


発生状況

本件労働災害は、宿泊施設に併設されたプールの改修工事中に発生したものである。作業は災害発生当時すでにほとんど完了しており、残った資材の片付け等を行っている最中であった。

現場には被災者を含め6人の作業員が向かう予定だったが、実際に予定通り到着したのはクレーンのオペレーター、元方事業者の作業員とその同僚の3人だった。はじめに駐車場にアウトリガーを張り出しクレーンを設置し、その後元方事業者の作業員が資材の玉掛け、同僚がトラックの荷外し作業を行った。

搬出作業中に被災者と他の作業員2人が到着し、すぐに作業の手伝いに当たった。元方事業者の作業員はパイプサポートを14本で一括りにし番線で巻きつけ、ワイヤー1本で玉掛けを行い合図を出した。

そこで後から来た作業員が資材の巻き上げを行ったところ、パイプサポートが締まった感覚があり荷物を動かさないよう手を止めると、1本のパイプサポートから差込み管が抜け落ち被災者の頭上に落下した。被災者は保護帽を身につけておらず、元方事業者の作業員はともに玉掛技能講習を未修了だった。

原因・対策

本件労災の原因は、ワイヤーロープ1本で玉掛けしたことやパイプサポートの差し込み管を適切に固定していなかったこと挙げられる。また講習を受けていないものが玉掛け作業を行ったことや、クレーンの吊り荷の下に被災者が立ち入ったことも起因している。

このような災害の対策として、玉掛け作業は講習を終了した者が適切に行うことが重要であり、また吊り荷の下には作業員が立ち入らないよう配慮する必要がある。


一人親方あんしん労災 – アースドリルのフロントフレームの下敷きに

一人親方あんしん労災 - 飛来、落下の労災事例

アースドリルのフロントフレームの下敷きに


発生状況

本件労働災害は、新車のアースドリルの組み立て作業中、作業者1名が落下してきたフロントフレームの下敷きになったものである。

事故発生当日、作業者4名でアースドリル本体にブーム、ケリーバー等の部品を取り付けるという作業を担っていた。組み立てを行う際に運転をした作業者は今まで運転してきたアースドリルとは形状が少し異なっていたため、不慣れな操作の中で作業が開始した。

作業は進み、作業指揮者がケリーバーをフロントフレームに通す作業に差し掛かった際、被災者と作業者1名は初めて見るケリーバーの形状に興味が湧き、フロントフレームの下に入って観察していた。作業を終えた作業指揮者がその2人を確認するとすぐにそこから離れるように指示を出し、2人は避難を始めたが被災者は間に合わず、落下してくるフロントフレームの下敷きになった。フロントフレームは、運転手が誤操作でクラッチレバーをフリーの状態にしていたため、落下してしまった。

原因・対策

本件労災は、操作レバーが機種によって異なるために誤操作をしてしまったことや、作業者がフロントフレームの下に立ち入ってしまったこと及び立ち入れないような措置を講じていなかったことが原因で起きた災害である。また、アースドリルの組み立て手順書にはこのような事故を防ぐため、組み立てスタンドを使用することが記述されており、当日は現場にあったものの使用していなかった。

このような事故を防ぐために、組み立てスタンドを使用すること、または作業者全員に危険性を熟知させた上でフロントフレームの下に立ち入れないような措置を講じることが重要である。また、操作方法が異なる機械を使用する際には、操作を十分に理解してから作業することも大切である。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルを荷の吊り上げに使用し資材が落下

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

ドラグ・ショベルを荷の吊り上げに使用し資材が落下


発生状況

本件労働災害は、建設現場の土を事務所付近の残土置き場まで運搬するため、残土置き場にあったU字溝を塞ぐ鉄板を資材置き場から運ぶ作業でトラックの荷台から鉄板(1.2m×2.8m・700kg)を下ろす際に発生したものである。

被災者は総重量20t・バケット容量0.4〜1.2㎥のドラグ・ショベルのバケット背面にあるフックにワイヤーロープで鉄板を玉掛けを行なった。このワイヤーロープは長さ300cm・直径1.0cmで両端を圧縮止めしており、ワイヤーロープの端をバケットのフックに掛け、もう一端を鉄板にあけた穴にねじ込み式のシャックルをつないでいた。

この作業が完了したため別の作業員が運転席で操作しブームを回転させたところ、鉄板が大きく揺れだした。被災者が揺れを抑えようと鉄板に近づいた瞬間、シャックルのピンが外れ鉄板が落下し被災者の頭に直撃した。その後の調査でこの作業は事前に打ち合わせ等はされずその場で決定したものであったことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、ドラグ・ショベルを本来とは異なる用途に用いたことと、ドラグ・ショベルで吊り上げた資材の近くに被災者が立ち入ったことが挙げられる。またあらかじめ作業手順を確認することなく当日現場で決定したことも起因している。

このような災害の対策として、建設機械は本来の使用目的と異なる作業では用いないことや資材を吊り上げているときは作業員が近づかないよう看板や監視役をつけるといったこと工夫をすることが挙げられる。また作業手順は当日その場で決めるのではなく事前に安全性に考慮しながら検討する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 吊り上げ中のU字溝が落下

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

吊り上げ中のU字溝が落下


発生状況

本件労働災害は、農業用に排水路を新設する工事中に発生したものである。コンクリート打設等はすでに終了しており、災害発生当日は長さ2.2m、幅・高さ60㎝の鉄筋コンクリート製U字溝を設置することになっていた。

作業は、溝底部にモルタルを入れる→ならし棒を用いて平らにする→ドラグ・ショベルでU字溝を吊り上げる→モルタルの上に置く→レベルを測定し合わなければ再度吊り上げてモルタルで調整するという手順で行われた。

この作業で10個目のU字溝を設置する際に、レベルが合わなかったためもう一度吊り上げブームを動かしU字溝を運搬していた。この時U字溝の下にならし棒が置かれていることに気づいた被災者は、棒を取ろうと荷の下に立ち入ったがその瞬間U字溝が落下してしまった。その結果被災者は重さ約350kg のU字溝の下敷きとなった。

今回使用した専用の吊り具はハンドルで吊り荷の大きさに合わせた調整が可能だったが、調整を誤ると吊り荷が落下する恐れがあるため取り扱いに気をつけるよう注意書きがされてあった。

原因・対策

本件労災の原因は、専用の吊り具を吊り荷であるU字溝のサイズに合わせてしっかりと調整していなかったことや、吊り荷の下に作業員が立ち入ってしまったことが挙げられる。

このような災害の対策として、吊り具を含め、作業中扱うものを安全かつ適切に使用するため事前に十分に調べることや、吊り荷が万一落下する場合に備えて吊り荷の下には作業員が入り込まないよう徹底することなどが重要である。


一人親方あんしん労災 – 吊り上げられたU字溝が破損し被災者に落下

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

吊り上げられたU字溝が破損し被災者に落下


発生状況

本件労働災害は、道路と排水路を新設する際に行われたU字溝の設置工事中に発生したものである。今回使われたU字溝は重さ約2.3t・長さ約2m・高さ約1.6m・幅約90㎝で、作業を担当したのは重機オペレーター1人と被災者を含めた作業員2人であった。

U字溝の敷設において計画書では移動式クレーンを使用することになっていたが、油圧ショベルを用いることにした。吊り上げはアイ状の玉掛け用ワイヤーロープの片方にシャックルを通し、吊り上げ用クランプを付け、これを2台用意しもう片方のアイをバケットに付けられたフックに掛けるという手順で行われた。本来は専用の吊り具を用いる必要があったが作業しにくいためこの方法で行われた。

被災者ははじめ床盤をならす作業を行っていたが、ならし作業が終了したため重機オペレーターに合図を出し、吊り上げたU字溝を降ろさせた。ところが据付け路盤の位置が高く、再び路盤から40㎝ほど吊り上げて水平に動かすことにした。

しかし吊り上げられたU字溝の下で被災者が床盤の高さを調節しようとした瞬間、U字溝がクランプの部分で破損したためU字溝が被災者の頭上に落下してしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、作業計画に従わず本来の用途以外の方法で建設機械を用いたことや、U字溝の敷設作業に専用の吊り具を使わなかったことが挙げられる。また吊り上げたものが落下し作業員が負傷する恐れのある場所に被災者が立ち入ったことも起因している。

このような災害の対策として、必ず作業計画に基づき専門の用具や適切な建設機械を使用することや、作業員に危険が生じる場所には作業員が立ち入らないよう対策を講じることが重要である。

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