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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – クレーンのジブが落下し激突

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

クレーンのジブが落下し激突


発生状況

本件労働災害は、ゴルフ場で使用する防球ネットを張るために必要なコンクリート支柱を立てる作業中に発生した。コンクリート支柱は25mほどの長さで、これを立て込むには27mほどのジブでは長さが足りないことがわかり、クローラクレーンのジブを延長することになった。

被災者はまずクレーンのジブを倒して先端を地上におろし、別の作業員にジブの延長を手伝うように声をかけた。その後長さ約6mの継ぎジブを取りに行くため現場からすぐ近くにある工場に向かった。

駐車場に継ぎジブを持ち込んだ被災者は、先ほど声をかけた作業員と共にジブの継ぎ足し部分にある4本の接続ピンのうち下2本を取り外す作業を開始した。この作業員はすぐにピンを抜くことができたがこのまま続行してジブが落下するのを防ぐため、ピンを抜いた穴に取り付けるバールを取りに行くことにした。

一方被災者が扱うピンはなかなか抜けず、被災者はジブの真下でピンをハンマーで叩きながら取り外す作業を続けていた。そしてピンが抜けた瞬間、まだ外していなかった上のピンを中心にジブが曲がり、被災者はジブの下敷きになった。

原因・対策

本件労災の原因は、ジブを解体する際にジブを固定あるいは支持していなかったことと、解体する方法について作業員同士の連絡が足りなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、クレーン等安全規則に従い今回のような作業をする場合には作業指揮者を決定し、必ずその者の指示に従うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 吊り荷が風に煽られ、ジブが破損し吊り荷が落下した

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

吊り荷が風に煽られ、ジブが破損し吊り荷が落下した


発生状況

本件労働災害は、2階建て路面店舗の塔屋に設置された看板補修をするために、塔屋から地上へ看板を降ろす際に発生したものである。

作業当日は、電気配線を外したのちに看板の四隅に玉掛けを行い、クレーンで吊り上げて地上に降ろす予定で、地上で看板塗装の補修後に逆工程で塔屋上へ戻すことになっていた。

玉掛けまでは順調に行われ、看板を取り外すために脚を溶断し終わった時、突風で吊り荷である看板が煽られて左方向に移動し始めた。それに合わせて吊り上げる予定だったクレーンのジブも左に動かしたが、その際にワイヤが塔屋にひっかかり逆方向に振られてしまったためジブが折れ、看板が店舗のひさしを壊し、クレーンの運転席上に落下した。

吊り上げ時のクレーンはジブ長37メートル、作業半径10メートル、定格荷重は10トンであったが、看板そのものの重さは18トンであった。

原因・対策

本件労災の原因は、吊り荷の重量算定を間違えたことにより、定格荷重を超えたものを吊り上げていたことと、看板脚部の溶断の際に脚部を短く切りすぎ屋上へ降ろすことが難しかったことも要因である。また突風により広い面積で軽重量の看板が流されたことも遠因である。

このような災害に対しては、吊り荷重量の正確な把握と風に煽られるような広面積軽重量のものを釣り上げる際は注意することが大切である。万が一吊り荷重量が正確にわからない場合には、定格荷重に余裕をもった重機を使用する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 掘削溝で作業中に杭打ち機が落下

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

掘削溝で作業中に杭打ち機が落下


発生状況

本件労働災害は、下水管・マンホールの設置工事中に杭打ち機を乗せた架台が動いたことで、被災者が作業していた掘削溝に落下して被災者が挟まれたものである。下水管の新設予定地には既存の下水管が埋まっていたため、はじめに撤去作業が行われ、その後新たに設置することになった。

撤去後の作業手順は、ホイールクレーンを掘削溝付近に用意する→クレーンの主巻フックで杭打ち機を溝の側面に運ぶ→杭打ち機のチャックに鋼矢板を固定→主巻フックを杭打ち機に戻す→補巻フックでジェットパイプを鋼矢板の内部に入れる→作業員の1人が溝に入り、オームバンドを溶接するというものであった。

現場は周囲に塀があったため杭打ち機を持ち込んだことでかなり狭くなっており、さらに杭打ち機を乗せた架台は、本来よりも小さいものしか準備できなかった。鋼矢板の打ち込む場所を調整するため、被災者が杭打ち機のチャックを移動させたところ杭打ち機の重心が動き、その結果架台が移動し杭打ち機が溝に落下し被災者に激突した。

原因・対策

本件労災は、架台が今回使用された杭打ち機より少し小さかったこと、設置場所に十分な広さがなかったことが起因している。また杭打ち機が落下する可能性のある場所に被災者が立ち入ったことも原因として挙げられる。

このような災害の対策として、必ず定められた架台を使用すること、杭打ち機の重心が移動しないよう強く固定することが重要である。さらに重機の落下が考えられる場所には、作業員の立ち入りを禁止することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 玉掛けした500kgの吊り荷が落下して接触・下敷きに

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

玉掛けした500kgの吊り荷が落下して接触・下敷きに


発生状況

本件労働災害は送水管埋設工事中に、掘削作業で使用していたドラグ・ショベルで吊った鋼管が落下し、吊り荷の下にいた作業員を下敷きにした事案である。

災害発生当日は当該作業に4名が従事しており、ドラグ・ショベルの操縦者、講習修了者の玉掛け要員、送水管敷設及び接続作業員2名という配置であった。

敷設する送水管は鋼製で重さが約500kg、玉掛け要員がほかの1名の補助を得て玉掛けをして、ドラグ・ショベルのバケット先端に溶接されていた環状フックにワイヤー2本で吊り、掘削済みの溝へ下ろす作業を行っていた。玉掛けに使用されたワイヤーは直径8mmのものを2本使用し、アイ状にされていた。

玉掛けの準備が済むと、ドラグ・ショベルの操縦者が吊り上げて旋回をはじめた。施工済みの送水管の上でドラグ・ショベルの旋回を一旦止めたところ、玉掛けした吊り荷の鋼製送水管が抜け落ちて、接続作業員の1名に接触したのち別の1名を下敷きにした。

原因・対策

本件労災が発生した原因は、ドラグ・ショベルで荷を吊り上げたことや、荷が落下する可能性がある場所に作業員が入れたこと。さらに、玉掛けの方法が適切ではなかったことが上げられる。

このような災害の対策は、建設系重機で荷を吊って移動させてないことや、玉掛けは荷姿に合わせて適切な方法をとること。吊り荷が落下する危険のある場所に、作業員を立ち入らせないことが上げられる。


一人親方あんしん労災 – 発電用大型ボイラーの補修作業中に、石炭灰が落下し作業員を直撃

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

発電用大型ボイラーの補修作業中に、石炭灰が落下し作業員を直撃


発生状況

本件労働災害は、発電に使用する大型水管ボイラーの補修工事中に起きたものである。

当該ボイラーの火炉水壁管から蒸気漏洩が発生し、復旧工事を行うこととなった。その際に蒸気漏れ箇所の確認と、運転停止、強制冷却、足場組み、管の交換を3日に渡り行う予定だった。

蒸気漏れがバーナー下方で起きていたことが判明したので、大型ボイラーの強制冷却後、修繕箇所にあたるバーナーの下側に足場が組まれた。足場組みの前には、石炭灰の付着状況をバーナー付近ののぞき穴から確認したが、目視されなかったので作業は続行されていた。

しかし、ヘルメットを着用した2名が、ボイラー内部に入りバーナーの下方に組まれた足場で水壁管溶断抜管作業をしていたところ、バーナー付近でより目視されなかった部分に付着した、石炭灰が剥離・落下し2名を直撃した。

原因・対策

本件労働災害は、強制冷却によって石炭灰の剥離・落下がしやすい状態になったことと、石炭灰の付着状況の確認が不充分であったこと。さらに防網などの落下物への対策が不充分であったことが挙げられる。

このような労働災害については、石炭灰の付着状況を発注者、元請け、下請けなど、工事に関わる業者全体で、充分に確認をすることと、ヘルメットだけでなく防網などの落下に備えた防止措置を講じること。さらに石炭灰が剥離・落下しやすくなる強制冷却などの必要がないように、防止措置期間も含めて工期・工程を充分に検討することである。

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