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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – マンションの地下階段踊り場で急性有機溶剤中毒

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

マンションの地下階段踊り場で急性有機溶剤中毒


発生状況

本件労働災害は、マンションの改修工事を行っている際に発生したものである。災害発生時は地下階段の踊り場付近の壁に仕上げ材を吹き付ける作業中であった。

塗装は、下地を整える→下塗主材を吹きつける→仕上げ材を塗るという手順で行われ、南面から塗り始め西、北、東と続く予定だった。

マンションは地下2階から地上3階までの階段を有しており、階段の東側に抱き足場が設置され外側はシートで養生している状態だった。地下に続く階段は8段下ると左に折れさらに6段下りたところに踊り場があるものだった。

被災者は踊り場で仕上げ材の吹き付けを行っていたが、しばらくすると気分が悪いと言い出しその数分後に倒れこんだ。その後被災者は急性有機溶剤中毒になっていたことが明らかになった。

また事故後の調査で当時現場の作業員は防毒マスクや送気マスクを着用しておらず、現場は地下階段の踊り場で風通しが悪いにも関わらず排気装置や全体換気装置などの設置をしていなかったことが判明した。

原因・対策

本件労働災害は、階段の踊り場という閉所であるにも関わらず有機溶剤を飛散の多い吹付けにより塗装したことや、防毒マスクの着用等吸い込みを防ぐ対策を怠っていたことが挙げられる。また局所排気装置等を設置せず、さらに全体換気装置も使用しなかったことも起因している。

このような災害の対策として、有機溶剤の扱いに関して作業主任者を命じ適切な使用方法を守るようにすることや、局所排気装置を設置するかそれが難しい場合は全体換気を行いマスクの着用を徹底することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 船内のバラストタンクで酸素欠乏

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

船内のバラストタンクで酸素欠乏


発生状況

本件労働災害は、湾岸における浚渫工事を行なっている時に発生したものである。本工事は浚渫船で掘削を行い、掘削した土砂を2隻の土運船に積み処分場所まで運ぶというものだった。

1度目の土砂運搬が終わり作業現場に戻ったとき、船長が「船の左後ろが傾いているので点検して欲しい」と作業員2人に声をかけた。2人がバラストタンクを点検するためマンホールを開けると、タンクに水が入っていたことが明らかになった。

船長はタンクの中を換気するためエアホースを投入し、作業員2人が水中ポンプをバラストタンクの中へ入れた。しかしポンプの搬入がうまくいかず、作業員の1人が梁の上に移動ししばらく作業を続けていたが、突然梁から船底へ落下した。

この様子を見ていたもう1人の作業員が大声で助けを求めると、近くにいた別の作業員と副船長が駆けつけた。作業員は装備を一切せずタンク内に突入したが、すぐに倒れこんだ。副船長もロープを使用しバラストタンクに入ったが、その後気分が悪くなり引き上げられた。

タンクは長いあいだ密閉状態で、酸素が欠乏していた。他のバラストタンクの状態を測定すると、酸素濃度16.3%・二酸化炭素濃度6ppmであった。

原因・対策

本件労災の原因は、作業を始める前に現場の酸素濃度を確認しなかったことや換気が十分に完了する前に現場に足を踏み入れたことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、作業を行う前に必ず酸素濃度を測定し安全を確認することや、換気が十分に完了するまで危険な現場に立ち入らないことが重要である。


一人親方あんしん労災 – コンクリート製の建造物内で一酸化炭素中毒

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

コンクリート製の建造物内で一酸化炭素中毒


発生状況

本件労働災害は、練炭から発生した一酸化炭素が原因で発生したものである。作業場所はマンホール(直径60㎝)の1つついた内容積およそ7.2㎥の建造物で、型枠の解体作業を行なっていた。

この建造物は減圧弁室で、飲用水管の埋設に必要な水圧調整弁を設置するためのものである。外寸寸法では縦1.8m、横2.8m、高さ2.3mの直方体でほぼ密閉式な場所であった。

災害発生当日、減圧弁室内部の型枠解体と同室埋設作業を開始しようとしたが、コンクリートを養生させるため3日前に入れた練炭の香りが強く残っていたため、作業員らは一度撤退しマンホールを開け換気を試みた。

数10分後、作業指揮者は減圧弁室下部の型枠を外し内部の換気をした後に減圧弁室内の型枠解体を行おうと考え、被災者に対し下部の配管用の穴の型枠を取り外すよう指示を出した。

被災者は指示通りに作業を開始したが、しばらくしてその場に倒れ込んでしまった。その後の調査で被災者は一酸化炭素中毒でとれていたことがわかり、災害発生前に型枠解体を無事に終わらすことのできた減圧弁室は、練炭が燃え尽きて1週間経過していたことが明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、一酸化炭素を完全に除去することなく作業を開始させたことや、被災者が一酸化炭素について詳しく把握していなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、作業を開始する前に現場の一酸化炭素を除去するよう徹底することや、作業員に対する労働衛生教育を十分に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 斫り機の排気ガスにより作業者2名が一酸化炭素中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

斫り機の排気ガスにより作業者2名が一酸化炭素中毒に


発生状況

本件労働災害は工場の床の改修工事において、作業者2名がガソリンエンジン斫り(はつり)機の排気ガスによる一酸化炭素中毒を起こしたものである。

事故発生当日、工事現場は工場の屋内であり、改修工事はまず、古くなった床を削り取ってから各種の処理を行い、最終的に床に樹脂を塗るというものであった。被災者2名はガソリンエンジン斫り機を使用して床を削り取る作業を担っていた。

まず、被災者の1名は午前中に作業を行っていたが、作業開始後すぐに体調が悪くなったため、屋外に出て休憩をとった。続いて、交代して作業を始めた2人目の被災者もすぐに気分が悪くなったので屋外に休憩をしようとしたところ、出入り口付近で意識を失い倒れた。

なお、作業中は換気を行うために2つのドアを全開にしており、ポータブルファンを利用することで送気量毎分70㎥の送気も行っていた。

原因・対策

本件労災は、換気がしづらい屋内でガソリンエンジン斫り機をしようしたことと、斫り機周辺の換気が不十分であったために有害物質の濃度が局所的に高くなってしまったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために屋内作業では極力、電動式の機械を用いて作業を行うことや、ガソリンエンジン式を使用せざるを得ない場合は、適切な換気を行いつつ必要に応じて一酸化炭素濃度の測定を行うことが重要である。また、作業者に呼吸用の安全装備をさせることでこのような事故を回避することができる。


一人親方あんしん労災 – マンホール内にガス流入で酸素欠乏症に

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

マンホール内にガス流入で酸素欠乏症に


発生状況

本件労働災害は、ガスの配管工事中に発生したものである。被災者の所属する事業場は主にガスの配管工事を請け負っていて、当日は地下に埋没している径700mmのガス配管に新設した箇所2400mを連通させる工事を担当していた。

この工事は容積およそ9㎡のマンホールの中で、ガス配管の連結箇所にあるガス遮断板(ガスが通じる部分と未通部分とを区分させる)を取り除き、ガス管を連通させるというものであった。

具体的にはマンホールの酸素濃度を測定し換気→バルブのグリスアップ→フランジボルトを取り外し、ガス遮断板を撤去→フランジボルトを締め配管を再び連結→バルブを開けガスを通すという手順で行われることになった。

作業は被災者を含め4人で担当していた。作業開始からしばらくしてバルブのボルトを25本外した段階で、遮断板の下側が押し広げられガスが漏れ始めた。これに気づいた作業員らは脱出を試みたが、そのうち1人が酸素欠乏症となりマンホール内で倒れこんでしまった。

原因・対策

今回作業場所が酸素欠乏状態となった要因としては、空気以外のガスによる空気の置換が挙げられる。これはバルブが開かれた状態であったのにもかかわらず遮断板を取り外そうとしたためマンホール内に天然ガスが噴出したことで発生した。

このような災害の対策として、バルブがきちんと閉まっているかを確認する作業を手順に組み込み忘れないようにすることや、酸素の濃度を保って安全に作業できるか事前に調査することが重要である。

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