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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – ガス溶断作業中に火災

一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例

ガス溶断作業中に火災


発生状況

本件労働災害は、鉄筋製で2回建ての倉庫を解体する作業中に発生したものである。災害発生時は倉庫の1階部分にある鉄骨とデッキプレートでできた保管棚をアセチレンガスで溶断する作業中であった。

作業開始前に現場責任者は、日雇い作業者に対し倉庫の1階はほぼ密閉状態であるため作業は水道ホースを這わせながら行うことや、防火用バケツ・消化器の設置、作業前の床に水撒き、溶断作業は煙を発するので適宜休息をとることなどを指示していた。

作業を担当した作業者3名はアセチレンガスを以前取り扱ったことがあると報告していたため、責任者から具体的な使用方法や作業場所の指示については行わなかった。

昼休憩の後も3名の日雇い作業者は作業を続行していたが、しばらくして右側の側面から出火が確認された。作業者の1人が消化のため水道にホースをつけ水を出そうとしたが、黒煙が発生したためそのまま退避した。

現場の壁面には断熱材としてウレタンフォームが吹き付けられていたが、説明はされていなかった。またガス溶断の資格に関して責任者は作業者全員が資格を所有していることを口頭で確認したが、実際には誰も資格証を保有していなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ウレタンフォームが燃えやすい材料であったにも関わらず吹き付けられていることを伝えていなかったことや、資格を持たないものが作業をガス溶断の作業を担当してしまったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、作業場所に関する説明は詳細部分まで怠らないことや、資格の有無は口頭ではなく資格証の提示を求めて確認することが重要である。


一人親方あんしん労災 – アンローダの散水用ポンプが落下し、作業者に激突

一人親方あんしん労災 - 飛来、落下の労災事例

アンローダの散水用ポンプが落下し、作業者に激突


発生状況

本件労働災害は、港湾機械の1つであり、船から物資を陸揚げするために用いられるアンローダの撤去工事中に、散水用ポンプデッキが落下し作業者1名に激突したものである。

事故発生当日、二次下請けの作業者6名でアンローダに取り付けられている散水ポンプデッキの撤去作業を担っていた。この散水ポンプデッキは重量3.7トンで、設置されてから20年以上経過したものであり、海水によってかなり腐食していた。作業が進み、デッキを支える3本の梁のうち1本をガス切断したところで被災者は休憩を取るためにハシゴで地上に降りた。すると、デッキを支えていた2本の梁が折れてしまい、そのまま高さ4.7メートルから落下して被災者に激突した。また、このときデッキの上で作業をしていた作業者も被災した。

原因・対策

本件労災は当工事を行う際に腐食した梁の強度を確認することなく作業を進めたことや、元方事業者が具体的な作業手順を定める等の適切な指導を下請け事業者に講じていなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、重量物の撤去作業を行う際にはそれを支える梁等の点検を行い、それに伴った適切な落下防止措置を講じることが重要である。また、元方事業者は管理請負人に対して労働災害防止に配慮した作業手順を定め、適切な指導を行うことである。


一人親方あんしん労災 – バックホウが転落し、作業者に激突

一人親方あんしん労災 - 墜落、転倒の労災事例

バックホウが転落し、作業者に激突


発生状況

本件労働災害は、ホテル新築工事において、鉄板を釣り上げて旋回しようとしたバックホウ(ドラグ・ショベル)がバランスを崩して転落し、作業者に激突したものである。

事故発生当日、現場責任者を含む計6名の作業者で型枠作業、整地作業、測量作業を分担して行なっていた。測量を担っていた作業者が、測量用の杭の打ち込み作業を開始したところ、車両運行用の重量1.4トンの鉄板がある水路に差し掛かった。このままでは作業が進まないため、整地作業で使われていた小型バックホウを用いて鉄板を吊り上げ、移動させることになった。

被災者は玉掛け作業を行い、現場責任者はその指揮を行なっていたが、3枚目の鉄板の移動が終わった時点で、指揮が不要であると判断したため責任者はその場を離れた。そして、最後の鉄板を玉掛けしてバックホウで吊り上げて旋回しようとしたところ機体はバランス崩して0.8m下の水路に転倒し、水路内で玉掛けを行なっていた被災者に激突した。

原因・対策

本件労災は、予定外の作業を行う際に十分な打ち合わせを行わなかったことや、バックホウを本来の用途ではない方法で使用し、鉄板の重さと機体の重量のバランス等の安定性が確保されていない状況だったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、やむを得ずバックホウを使用用途以外の方法で用いる際には、荷の重量や旋回におけるモーメントを考慮した上で安定性が保たれた状態で使用することである。また、玉掛け作業が済んだ作業者を速やかに作業範囲外に退避させるなどの打ち合わせをあらかじめ十分に行い、安全確認を行うことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 定格荷重を超えトラッククレーンが転倒

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

定格荷重を超えトラッククレーンが転倒


発生状況

本件労働災害は、個人住宅の屋根部分を改築する工事中に発生したものである。被災者は足場として使用する丸太(長さ5.4m、重量0.3t)の運搬を担当していた。

災害発生当時、被災者は会社の前に駐車していた車両積載型トラッククレーン(吊り上げ荷重2.5t)で荷台の上にある丸太を2tトラックに積み換えるため、1人で会社を出た。まずトラッククレーンのアウトリガーの下に10㎝四方の敷角を置き、片方は最大に張り出し、もう片方は最小張り出しにした。

荷台にある丸太の束をワイヤーロープで玉掛けし、アウトリガーの最小張り出し側で運転レバーを操作し丸太を2tトラックに積み込もうとした。丸太を吊り上げるとトラッククレーンはゆっくりと傾きはじめ、敷角からアウトリガーが外れた際に車体は転倒し被災者の体に激突した。

丸太を吊り旋回させたときの作業半径は4.0m、定格荷重は0.15tであった。その後の調査で被災者はトラッククレーンの運転資格を保有していなかったことが明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、アウトリガーを最大に張り出さなかったことで過荷重となってしまったことや、敷角の大きさが十分でなかったためにアウトリガーがずれてしまったことなどが挙げられる。また無資格者がトラッククレーンを扱ったことも起因している。

このような災害の対策として、アウトリガーは必ず最大に張り出して使用することや、定格荷重を超える場合は使用を中止することが重要である。また建設機械は必ず資格を持った者のみが扱うよう徹底する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 足場の開口部を踏み込み落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

足場の開口部を踏み込み落下


発生状況

本件労働災害は、鉄筋コンクリートの建築物を新築する工事中に発生したものである。災害発生当日は躯体工事で外壁の型枠(幅55cm×長さ3.5m×厚さ6cm)の解体作業を行なっており、下請けの事業所から被災者を含め2人が担当することになった。

作業は職長の指示に従って行われる予定だったが、開始後すぐに同じ現場の別の作業を見ていたため2人は職長の指示を待たずに作業を開始した。

具体的には2人で2階の型枠を解体し型枠仮置場に運搬するという手順で、足場の上で型枠を解体し通路に一度置き、型枠置き場に運ぶ際は被災者が1人で行なっていた。

これを数回繰り返していたが、作業開始からしばらくして前回と同じように型枠を運搬するため足場を後ろ向きで歩いていたところ、コンクリート床のスラブと壁の間にある開口部に足を入れてしまいおよそ5m下のコンクリートに墜落した。

被災者は災害発生当時安全帯を装着していたにも関わらず本作業中は使用しておらず、開口部は手すり等の墜落防止策を講じられていなかった。

原因・対策

本件労働災害は、墜落の可能性がある開口部に手すりなどの墜落防止措置を取っていなかったことや、被災者が安全帯を着用していたにも関わらず使用しなかったことなどが挙げられる。また職長が作業時に適切な指揮をとらなかったことも起因している。

このような災害の対策として、開口部には必ず墜落を防ぐ何らかの措置をとることや安全帯の使用を徹底するよう作業員に教育することが重要である。また職長は作業の指揮をとり現場を離れてはならない。

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