1. ホーム
  2. 労災事例

建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

カテゴリー


一人親方あんしん労災 – 切断したブロック塀の下敷きに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

切断したブロック塀の下敷きに


発生状況

本件労働災害は、個人住宅のブロック塀を解体する作業中に発生したものである。高さ4.0m・長さ8.5mの塀の傾いた部分を解体する工事で、作業は被災者を含め3人で行われることになっていた。

塀は下から2.5m部分は幅14㎝のブロック製で、上1.5mは鉄フェンス製であった。塀は高さ1.1mから傾いており、ブロック塀内には鉄筋(直径1.2cm)が80cm間隔で11本、横に1m間隔で2本入っていた。

当日の作業は、傾いた塀を引き起こす→ブロックに穴をあけワイヤーロープを通し丸太で固める→フェンスを取り外しブロック塀の上部をハンマーで破壊→ワイヤーロープを引くことでブロック塀を倒すという手順で行われる予定だった。

しかしワイヤーロープを引いてもブロックは倒れなかったため、ブロック塀の下部をハンマーや電気ドリル、たがねを使用し60cm間隔ではつり、鉄筋はサンダーで切断した。

作業開始から1時間後、突然ブロック塀が倒れた。ブロック塀の内側にいた被災者はその場から逃げることができず倒壊するブロックの下敷きになった。災害発生時被災者は保護帽を着用していなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ブロック塀が下部の切断やはつりによって倒れやすい状態になっていたことや、被災者がブロックの倒れこむ側で作業していたことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、塀の解体など倒壊の恐れがある場合は控えを用いるなどして安全に配慮することが重要である。また作業場所も十分に注意し、万が一の時のため保護帽の着用を徹底する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 上水道管の設置工事において土砂が崩壊

一人親方あんしん労災 - 崩壊、倒壊の労災事例

上水道管の設置工事において土砂が崩壊


発生状況

本件労働災害は、民家に300メートルの上水道を設置する工事中、土砂が崩壊し作業者1名が巻き込まれたものである。

自己発生当日、法面水平面と(傾斜45°)の境界部で作業を行なっていた。工事はまず、バックホウ(ドラグ・ショベル)を用いて掘削を行った後に床をならし、水道管を設置していくという工程で行われた。被災者は床ならしまで終えたため地下2メートル地点で、水平面と法面のジョイントを固定するための杭を打ち込む作業を担っていた。まず水平面から地下に降り、法面下に差し掛かった際、頭上の土砂が崩壊し被災した。

なお、現場に作業責任者は選任されておらず、点検者がいなかったため地質の調査を行っていなかった。法面部の土壌は「残留土壌」、「節理のない凝灰岩の強風化したもの」、「節理のある凝灰岩の強風化したもの」で構成されていた。

原因・対策

本件労災は、法面部の土壌が安定していない状況を把握していないにも関わらず、杭を打つという振動が起こる作業を行ってしまったことや、適切な判断を下せる作業責任者、あるいは地質調査を行える点検者が選任されていなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、地山の掘削を行う際は必ず地質や地層の状況を調べた上で、適切な勾配設定や作業手順を考えることが重要である。また、土砂が崩壊する可能性がある現場では土止め支保工を設ける等の措置を行うなどの適切な判断ができる掘削作業責任者を選任した上で工事を行うことも大切である。


一人親方あんしん労災 – コンクリート擁壁が崩壊し、下敷きに

一人親方あんしん労災 - 崩壊、倒壊の労災事例

コンクリート擁壁が崩壊し下敷きに


発生状況

本件労働災害は、水路用ボックスカルバートの設置工事中にコンクリート擁壁が崩れ、作業者1名が下敷きになったものである。

事故発生当日、被災者はバックホウ(ドラグショベル)によって掘削された溝に入って、ボックスカルバートの裾つけ基礎コンクリートを打ち込むための型枠組み立て作業を行なっていた。溝はほとんどが土止め工事がされていたが、当日に掘削された部分に関してはまだ土止めされておらず、崩れやすい状況の中で作業を進めていた。午前の作業が無事に終わり、午後の工事を始めるために被災者が溝に入り作業を再開しようとしたところ、土止めされていなかった箇所からコンクリート擁壁が崩れ始め、15m以上もの擁壁が崩壊した。そして被災者がそれらの下敷きになったものである。

原因・対策

本件労災は、当日に掘削された箇所に土止めが設けられていない中で作業をしていたことなど、安全対策を考慮した手順で工事が行われていなかったことでコンクリート擁壁が崩壊してしまった。また、土止め支保工作業主任者が選任されていなかったことも要因の一つである。

このような事故を防ぐために、正しい作業手順を作成し、掘削が完了した箇所にはすぐに土止め工事をすることが大切である。さらに、それらを行う際には作業主任者の指示のもとで作業をし、作業主任者は工事開始前の打ち合わせを十分に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 掘削溝が崩壊し生き埋めに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

掘削溝が崩壊し生き埋めに


発生状況

本件労働災害は、農具を収納する施設の建設中に発生したものである。当時の作業は、施設の地下部分に地下水が侵入しないよう水流に対して直角に排水パイプを埋設する工事であった。現場以前水田であり、約半年前に施設を建設するため埋め立てたもので土質は砂質土であった。

具体的には、深さ1.8m・幅0.8mの溝をドラグ・ショベルで勾配が90°になるよう掘削→パイプを溝の底に置く→パイプに土が入らないようパイプの上部に板を設置→土をかけ板を固定→ドラグ・ショベルで埋め戻すという作業手順で、これを何度か繰り返しパイプを繋ぎ足していくというものであった。

作業は被災者を含め2人で行われた。まずはじめに1人の作業員がドラグ・ショベルを運転し溝を水流と垂直の方向に掘削した。次にその作業員と被災者で溝に入り、パイプと板の設置を完了させた。

その後、被災者が溝の中に残っている状態でもう1人の作業員が埋め戻しを行うため先に溝から出て、ドラグ・ショベルに乗ろうとした際に溝の側面が大きく崩壊し被災者は生き埋めになった。

原因・対策

本件労災の原因は、土止め支保工を設置するなどの対策をとっていなかったことや、地質調査が行われていなかったこと、さらに埋め立てから半年しか経過しておらず湧き水がありながら安全な掘削勾配としなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、土砂崩壊の危険がある場合にはあらかじめ土止め支保工を設置することや、地質や湧き水の有無を作業前に調査することが挙げられる。また調査結果に基づき安全な掘削勾配をとることも重要である。


一人親方あんしん労災 – 溝内で作業中に法面が崩壊し生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

溝内で作業中に法面が崩壊し生き埋め


発生状況

本件労働災害は、P.C.管を撤去し塩ビ管を新たに敷設する工事中に発生した。工事は延長1㎞ほどにわたり底部の幅約60㎝、深さ約2mの溝を法面こう配4〜3分で掘削するもので災害発生当日は工事の開始点から310mの部分から作業を行う予定だった。

具体的な作業手順は、タイヤ・ショベルで路肩に山砂を仮置きする→ドラグ・ショベルで溝を掘削する→既設のP.C.管を撤去→人の手で溝部分の床をならす→ドラグ・ショベルで山砂を溝に投入→人の手で敷きならし・転圧を行う→塩ビ管を敷設する→ドラグ・ショベルで再び山砂を溝に投入→人力で敷きならし・転圧→埋め戻しというものだった。

作業開始からしばらくして、4本目の塩ビ管を敷設する準備として作業員2名が溝内で塩ビ管の側面に接着剤を塗布している時に、溝の法面近くの地面にクラックが発生した。これに気がついた別の作業員が溝の中で作業している2人に声をかけ危険を知らせた。

ところがその直後、作業場所付近の法面が幅50㎝、全長5mにわたり崩壊し2名の作業員のうち逃げ遅れた1人が生き埋めとなってしまった。現場の地質は粘性土で、湧水はなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、掘削作業を行う箇所の地質調査を行っていなかったことや、法面の崩壊を防ぐ土止め支保工などの対策をしていなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、掘削作業を行う場合は地質の確認を行いその結果に応じて適切で安全な作業方法をとることが重要である。

カテゴリー