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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 汚水管敷設工事で掘削溝が崩壊し生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

汚水管敷設工事で掘削溝が崩壊し生き埋め


発生状況

本件労働災害は、マンホールを含めた汚水管を設置するために掘削した溝が崩壊し、生き埋めになったものである。

災害発生の前日までに汚水管、マンホールの設置は完了していたので、当日は掘削された深さ2.1mの溝を4人で埋め戻し、他の3人が土留め支保工を取り外すことになっていた。被災者は支保工の解体を担当していた。

作業手順は区画ごとに支保工を外し、埋戻し土砂をいれタンパで均すということを繰り返すものだった。2区画まで作業が済み、3区画目もすべての支保工が外されたので、埋め戻しに必要な土砂がダンプカーで運ばれてくるのを待っていた。しかしダンプがなかなか来なかったので、被災者は先に埋め戻しがされていない次の区画の支保工を取り外す作業を行ってしまった。作業開始から30分後、終わりから3つ目の支保工を外したときに周囲の土砂が崩れ、被災者は生き埋めとなった。被災者は雇われてから5日目の新人で、業務に慣れておらず、安全衛生に関する知識も乏しかった。

原因・対策

本件労災は、被災者が本来の手順通りに作業せずに、土留め支保工を取り外してしまったことに起因している。また、雇用してすぐの新人に安全対策に関する指導をしっかりと行わなかったことも原因として挙げられる。

このような災害の対策として、土止めの支保工の切りばりや腹おこしの解体を行うとき、また作業する溝の深さが2m以上であるときには、それぞれ主任者を決めて臨機応変に指示を出す必要がある。また事前の調査で少しでも土砂の崩壊が考えられるとわかった場合は、必ず土留め支保工の取り付けを徹底し、それらを含めた適切な作業計画書を作成し実行することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 災害防止内容を無視し、掘削溝が崩れ生き埋めに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

災害防止内容を無視し、掘削溝が崩れ生き埋めに


発生状況

本件労働災害は、排水管の埋設工事中に掘削溝で作業を行なっていた作業員が、周りの地山の崩壊で生き埋めになったものである。

現場は人工島であり、さらに3日前に雨が降ったので地盤が比較的緩い状態だった。排水管の埋設工事は元請会社とその下請け会社、さらに孫請け会社の合計3社で行なっていた。

災害は工事開始から4日目に発生した。作業主任者は元請会社の者が任されており、孫請け会社の作業員3人が、作業を行なっていた。一人がバックホウ(ドラグ・ショベル)を操縦し、掘削作業を行なっていたが、両脇に木と芝生が植えられていたため、勾配を十分に確保できなかった。なお、発注者からの施工計画書には、労災防止に関する内容が正確に記述されていたにも関わらず、作業主任者は作業員に、木や芝生は傷つけないように程度の説明しかしていなかった。そのため土止め支保工などは行われていなかった。

掘削作業と同時に、作業員2人でヒューム管の裾付け作業を行なっていた。作業が進み、7本目のヒューム管を取り付けるためのバックホウで掘削を始めた際に、11立方メートルもの地山が倒壊した。作業員の1人は逃げ切れたものの、もう一人が取り残され、生き埋めになった。事故発生時、作業主任者は現場を離れていた。

原因・対策

本件労災は、地盤が十分に強固でなかったため、地山が崩壊することは予測できたにも関わらず、施工計画書に記載された土止め支保工の設置や、上下作業の禁止などの記載を作業主任者が把握していなかった。そのため、作業員への指示が不十分となり、垂直勾配で掘削してしまったことが原因で起きた災害である。

このような事故の対処法としては、施工計画書の計画を確実に守り、元請会社から下請会社への技術上の指導をしっかりと行うことが大切である。また、作業主任者は現場を常に監督し、作業員の安全を守ることが重要である。


一人親方あんしん労災 – ビル建設中に型枠が倒れ墜落する

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

ビル建設中に型枠が倒れ墜落する


発生状況

本件労働災害は、鉄骨および鉄筋を用いるコンクリート製のビル建設中に発生。被災者らはガス圧接継手の抜取検査を行おうとしていたが、検査のため2名が梁用型枠支保工に乗り、数分後型枠が倒れ墜落したものである。

梁型枠側板の内側には、高さ70㎝、厚さ10㎜の合板に50㎝ほどの間隔で幅3㎝、厚さ3㎝の縦桟木を入れていたが、側板の中間部、上部には梁鉄筋を取り付けていたにも関わらず、型枠の間隔を一定に保つセパレーターや横座屈を防ぐ横繋ぎ材を設置していなかった。さらに災害発生時、型枠には作業構台の代わりとしてスラブに配置する鉄筋が置かれていた。型枠支保工に使われた配管サポートは構造、強度ともに構造規格に反していなかった。

被災者のいた現場では、毎日下請けに対し翌日の業務の確認を含めた安全工程に関する打ち合わせを必ず行い、月に1度は安全衛生について協議する場を設けていた。にもかかわらず、鉄筋配置の注意点について特別な指摘はなく、下請けの独断で作業が進められていた。

原因・対策

本労災事案の原因は、ビーム式型枠支保工が鉄筋の荷重に耐えられると判断してしまったことがあげられる。また、型枠の内側に添木を配置したために型枠が内側に押されてしまい、結果として爪の部分が離脱した可能性がある。つまり梁枠の側板の中間部と上部に補強のための対策がなされていなかったこと、鉄筋とビームとが垂直でなかったために負荷が不均等であったことなども起因している。

対策として梁用型枠は作業構台としての使用を避けることが重要であり、元請けは梁枠の積載荷重など下請けに対し詳細に説明する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 土地掘削箇所が崩壊し床ならし中に生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

土地掘削箇所が崩壊し床ならし中に生き埋め


発生状況

本件労働災害はヒューム管設置工事で土地を、ドラグ・ショベルで掘削し溝を作り中で床ならしの作業中に、地山が崩れて生き埋めになったものである。

作業内容は汚水管と雨水管の設置で、土壌を掘るにつれ、土の置き場が足りなくなった。工事を始めて4日目に下請けの独断で雨水管の敷設を優先して進め、汚水管の工事は後で着手することにしたが、元請けはこれを注意した。しかしその後、掘削した土の置き場がなく、雨水管の溝を埋めなければ計画通りに進められない状態を考慮し、汚水管の設置を行うときには土留支保工を備えること、また汚水管と雨水管の間に60㎝以上の地山を残すことを義務付けて作業方法の変更を許可した。しかしそれにより追加で必要となった費用は認められなかった。

災害発生時、2時間前までに掘削した部分にはシートパイルでトンボ式土留支保工を設置していたが、それ以後に掘削した箇所は土留支保工を設置していなかった。崩壊箇所は2日前に埋め戻された雨水管側で、被災者がいた溝は深さ3.5m、幅1.2mであった。またドラグ・ショベルを運転していた作業員の一人は、災害直前に溝の約1.5m先に溝と平行に4mほどの亀裂があることを確認していた。

原因・対策

本災害の原因として、作業計画が立てられていなかったこと、土留支保工の費用を確保せず、設置しないまま作業したことが挙げられる。また、ドラグ・ショベルが埋め戻された土で稼働し土圧、振動が加えられたこと、着工前に現場周辺の土地を点検しなかったことも起因している。

対策として作業計画を必ず立て、深さ2m以上の溝で作業する際は土留支保工を設置する、また作業前に土地を点検することなどが挙げられる。さらに元請けは災害防止に必要な費用を確保し、下請けに対する安全対策の指導を徹底するほか、計画作成の段階で安全面の審査を行う体制を整えることも重要である。


一人親方あんしん労災 – ガス管埋設作業中に土砂崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

ガス管埋設作業中に土砂崩壊


発生状況

本件労働災害は、深さ3mほどの溝を掘削したのち、溝内にガス管を敷設し埋め戻す工事の際に発生した事案である。

災害が発生した当日は朝から角度90度で掘削工事が行われており、全長の3割程度の掘削が済んだところで土留支保工を施し、午後から改めて続きを掘削する作業を行っていた。10mほど掘り終えたところで作業者3名が溝内に下り、改めて土留支保工の設置工事を行っていた。その際に、掘削したノリ面が崩壊し、溝内に入っていた3名のうち2名が生き埋めとなった事案である。

現場の地質は、地面下1mは粘土層、そこから下は砕石チップ層であった。これは、以前の水道管埋設工事の際に埋め戻されたものだった。

土留支保工には軽量鋼板を矢板に、腹起しには角材、切梁にはパイプサポートを用いていた。仮止め時には矢板を70〜80cm間隔に打ち込んだのち切梁を固定して、仮止めが4m進んだごとに本組作業を行っていった。

当日作業場には作業主任者1名あり、支保工、掘削作業責任者を兼任していたが、災害発生時はほかの現場に赴いており不在であった。

原因・対策

本件労災は、地質調査不充分かつ深い場所は砕石チップ層であったことのほか、土留作業が不充分な状態の場所に作業員が長時間いなければならなかったことと、作業責任者が兼任かつ1名で不在なため、安全管理も不充分であったことに起因する。

このような災害の対策として、地質調査を行うことと、掘削深度2mを超える場合は掘削作業主任者を専任し、作業工程の策定と作業の陣頭指揮を執り行うこと。また地山に崩壊の危険性がある場合は鋼矢板壁を充分に打ち込み、溝内に作業員を入れる前に切梁を設置するようにすることである。さらに支保工作業主任者を選任し、作業工程の策定と陣頭指揮を執ることも重要である。

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