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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 組み立て中の擁壁が倒壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

組み立て中の擁壁が倒壊


発生状況

本件労働災害は、暴風雨により河岸が崩壊した部分に土止め擁壁を築造する工事中に発生したものである。擁壁の長さは30m、高さは3mで上流から15m部分まで施工されており、擁壁は自立できない形状のものであった。

作業は、整地した箇所に1段目の型枠を組み立てコンクリートを打設→硬化したら2段目を組み立てる→地山と型枠との間にパイプサポートを取り付け、コンクリートを打設→硬化後、型枠を解体し擁壁の裏部分を埋め戻しという流れで行われる予定だった。

災害発生当日は型枠の解体および除去を行う計画であった。被災者は事業主とともに擁壁の裏側を解体し、表側は別の作業員が担当することになった。型枠の解体には鋼管の除去が必要であるが、鋼管を除去するにはそれを支える9本のパイプサポートを取り除かなければならなかった。

よって作業員らは仮支え用に別のパイプサポートを5本設置し、その後鋼管と9本のパイプサポートを取り除くことにした。しかし鋼管を除去している際に突然擁壁が地山側に倒れ、被災者は擁壁と地山の間に挟まれてしまった。事業主はこの時作業場から離れていて無事だった。

原因・対策

本件労災の原因は、仮支え用のパイプサポートが足りず擁壁を支えきれなかったことや、コンクリート擁壁の形状があまりに不安定なものであったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、仮支え用のパイプサポートは必要な本数を事前に確認し用意しておくことや、沈下を防止する措置等によりもたれ擁壁が倒壊しないよう万全を期す必要がある。


一人親方あんしん労災 – 地山が崩壊し生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

地山が崩壊し生き埋め


発生状況

本件労働災害は、河川の護岸と土止め擁壁を築造する工事中に発生したものである。現場は幅24m・高さ13mの地山で、ここに高さ6m・長さ22m・幅30㎝のコンクリート製擁壁を築造するとともに、70°の勾配を50°に整形するという計画が立てられていた。

擁壁の築造方法は3段階に分けて行われ、災害発生の前に地山の下をドラグ・ショベルで掘る→1段目の基礎部分(幅3m・高さ0.5m)を打設する→2段目となる本体(高さ2.5m)を打設する→手掘りで地山の高さを1.9m・角度を30°程度に整える→擁壁部分を埋めもどす→3段目の築造箇所に型枠支保工を取り付けるという作業が終了していた。

災害発生当日は3段目の型枠支保工を取り外す作業が予定されており、被災者を含む3人の作業員が業務に当たった。作業開始から20分後、突然地山が大きく崩壊し被災者は土砂に埋もれてしまった。

その後の調査で、現場の地質は上部が礫の多く硬い層で、中部は礫が少なく粘土の多い層、下部は礫と砂の多い層となっていたが、中部層の下部が湿っていたことで地山が崩れやすい状態であったことが判明した。また災害発生時雨は降っていなかったがぐずついた天気が続いており、現場のその月における雨量の累積は50㎜近くあったことが明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、災害が起きる1ヶ月前ごろから雨天が多く雨水で地山の地盤が弱くなっていたことや、現場の地質調査が専門的でなく目視のみであったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、作業を行う直前でなくても悪天候の続いた場合には、安全に配慮し土止め支保工を設置するなどの措置をとることや、地質調査をより綿密に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 掘削穴の壁面が崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

掘削穴の壁面が崩壊


発生状況

本件労働災害は、河川の幅を広げ護岸ブロックを配置する工事中に発生した。災害発生当時は護岸ブロックを取り付けた後、ブロックの支えとなる隔壁を設置する作業を行なっていた。現場には隔壁を設置するため深さ5m、直径4mほどの掘削穴を用意しており、これは以前一度掘られた箇所を埋め戻して数日後に再び掘られてできたものであった。

災害発生当日は、隔壁の型枠を解体しているところで雨が降り始めそのまま降り続いている状態だった。しばらくして隔壁の写真を撮影するため穴に溜まった湧き水をポンプで外に出そうとしたがなかなかうまくいかず、被災者を含めた作業員3人が穴の中に立ち入りポンプを起こそうとした。

すると突然被災者の背にあたる壁面が大きく崩れ、被災者は前のめりに倒れポンプに強く胸を打ち付けてしまった。この掘削穴は河川沿いで湧き水がたまりやすく、法面の勾配はほぼ垂直であった。

原因・対策

本件労災の原因は、掘削穴を掘ることになった箇所の土質が雨水や湧き水の影響で不安定な状態であったことや、法面の勾配をほぼ垂直にして掘り、さらに土どめ支保工も設置していなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、地面を掘削する場合には現地の地質や湧き水の有無などを作業開始前に調査することが重要である。またその調査に基づいて掘削の勾配を緩やかなものにするか、あるいは土どめ支保工を設置するといった作業員の安全に配慮した適切な作業計画を定めて実行することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 杭打用オーガ併用ハンマーを組み立て中、転倒してきたスクリューに激突される

一人親方あんしん労災 – 崩壊・倒壊の労災事例

杭打用オーガ併用ハンマーを組み立て中、転倒してきたスクリューに激突される


発生状況

本件労働災害は、鉄筋コンクリートの家屋建設現場において、杭打機組立作業中にロックピン打ち込み担当者が3メートル超の場所から墜落し、ピン留めされなかったスクリューが倒れその担当者にげきとつしたものである。

災害発生時、元請け事業者と下請け業者の現場責任者は始業後の打ち合わせが済むと、諸用で現場を離れていたため、杭打機の準備は2次請業者と3次下請業者の作業員が担当することになった。2次下請けの作業員は杭打機のオペレーター1人と杭打工事の補助員2人、3次下請けの作業員は移動式クレーンのオペレーター1人であった。

重機と部材が搬入されたのち、移動式クレーンのオペレーターがオーガに取り付けるスクリューを持ち上げ、杭打工事の補助員2名が、杭打機の先端部分にたてかけた。そして補助員のうち1人が杭打機の昇降設備を登ってロックするためのピン留めを行う準備をし、もう1人の補助員は地上で玉掛け作業の準備をしていた。

昇降設備を登っていた補助員が、ワイヤーロープでつられていたスクリューを外しロックピンを打ち込もうとしたときに地上に墜落してしまい、その悲鳴を聞いた杭打機のオペレーターが合図の声と勘違いをして、杭打機を持ち上げてしまい、たけられていたスクリューが倒れ、墜落した補助員に激突した。

原因・対策

本件労災は、まず作業指揮者が配置されなかったことと安全指示をする人が不在になったことが一番の要因である。さらに補助員が昇降設備を登るときに、傾斜地用安全帯装置が用意されているにもかかわらず、装着していなかったこと、杭打機組立に関わる安全指導が行われていなかったことも挙げられる。

さらにロックピンで固定する前にスクリューをワイヤーから外してしまう、大声を合図と聞き違えしてしまうなど、手順などをしっかり策定しなかったことも大きな原因である。

このような労災事故への対策として安全確保のため作業指揮者をおき、手順の作成と周知、安全対策の徹底を行うことが大切である。さらに現場の責任者となる人は常駐し、災害防止策を図ることも大切である。


一人親方あんしん労災 – 降雨後の掘削作業中に地山が崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

降雨後の掘削作業中に地山が崩壊


発生状況

本件労働災害は、幅およそ3m・深さおよそ6mの掘削溝に排水管を埋める作業中に発生した。この溝は2段掘りで、地上から2mほど掘ったところに小さな段が設けられ、さらに4m掘り下げたところに排水管を埋設する予定だった。

現場には残土が多く置かれていたため、災害発生前日に溝を掘り下げる作業と並行してドラグ・ショベルで残土を捨てる作業を実施した。災害発生当日の午前中も引き続き掘削溝の掘り下げを行ない、その後は排水管2本分にあたる8mまで掘り進む→排水管を1本設置→4m掘るごとに1本排水管設置という手順で作業が計画されていた。

被災者は排水管を設置するための床ならし作業を担当し、別の作業員はドラグ・ショベルで溝を掘り進めていた。その際一時的に強い雨が降ったが、しばらくすると止んだのですぐに作業を再開した。すると掘削溝の地山の一部分が崩れ、床ならし中だった被災者は生き埋めになってしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、掘削作業中に地山の崩壊を防ぐ土どめ支保工の設置などを一切行なっていなかったことや、雨により土が崩れやすい状態であったにも関わらずすぐに作業を再開したことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、事前に現場の地質や形状を把握した上で地山の崩壊を防ぐ適切な対策を講じることが重要である。また急な降雨など突然の変化があった場合には、現場の安全を第一に考慮し作業を中断することも重要である。

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