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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 丸太足場が強風で崩壊し、作業者3名が墜落

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

丸太足場が強風で崩壊し、作業者3名が墜落


発生状況

本件労働災害は、ビルの屋上に設置された広告塔の塗装作業時に、足場が強風により倒壊して作業者3名が墜落したものである。

事故発生当日は風速10~15m/秒と風が強い日であった。工事は作業者3名が看板文字を広告塔に取り付ける作業だった。使用した足場は作業床がなく、水平に渡されている丸太に足を掛けるタイプの一側足場を利用した。作業者3名が看板文字をロープで足場上につり上げていた時、突風により丸太足場のつなぎ部分が変形し、倒壊した。そのまま3名が墜落し、屋上の床に叩きつけられたものである。

原因・対策

本件労災は、強風の日に高所作業を行ったこと、足場の構造に問題があり塗装用のネットが風を受けたことで起きた災害である。

このような事故を防ぐために、強風の場合は高所作業を中止してシートなどを取り外すこと、足場の設置に関してしっかりとした組立図を作成することが重要である。具体的には、風の影響を考えた強度計算を行う張り出し足場の張り出し材を水平で丈夫なものにすることを記すなどである。また、高所作業を行う際は原則として本足場を設置するが、やむを得ない場合は作業者に安全帯を使用させることが必要である。


一人親方あんしん労災 – 荷物の積み込み作業中にホイールクレーンが転倒

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

荷物の積み込み作業中にホイールクレーンが転倒


発生状況

本件労働災害は、積み込み作業に使用していたホイールクレーンが右旋回時に転倒したものである。

事故発生当日、作業現場は幅4.8メートルのアスファルトの道路上であった。そのため、ホイールクレーンのアウトリガーは最大張り出しでは使用できず、幅4メートルの中間張り出しで使用せざるを得ない状況だった。使用したクレーンは、側面領域の最大荷重が5.5トンのもので、まず仮置きしてあった発電機(5.5トン)をトラックへの積み込む作業を行った。そのあと、加振器(5.8トン)とそれの備品(0.3トン)の積み込みを一度に行うことを試みた。これら2つをワイヤロープで玉掛けし、巻き上げながら右旋回をした際、最大荷重を超えた重量に耐えきれなくなったクレーンが転倒した。この時、運転手はアクセルを過剰に踏み込んでしまっていたため、旋回速度も通常より早い状態だった。

原因・対策

本件労災は、過負荷防止装置が故障していたため、最大荷重を超えた物をつってしまったこと、旋回速度が早いことによる遠心力でバランスを崩したことが原因で起きた災害である。

このような災害を防ぐためには、作業開始前には必ず過負荷防止装置の点検を行い、作業者に対してクレーンの運転操作の指導を徹底することが重要である。また、作業現場に応じたクレーンの選択し、アウトリガー張り出しに必要な範囲を十分に確保できる現場で作業することも大切である。


一人親方あんしん労災 – 建込簡易土留の設置作業中、作業者が土砂の下敷きに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

建込簡易土留の設置作業中、作業者が土砂の下敷きに


発生状況

本件労働災害は、建込簡易土留の埋設工事中に土砂が崩れ作業者1名が下敷きとなったものである。

事故発生当日の工事は作業員3名で行い、掘削作業のあとに建込簡易土留と下水道管の設置をするものであった。なお、支保工作業主任者は本工事に居合わせていなかった。掘削作業が順調に進んだため、作業者1名はバックホウ(ドラグ・ショベル)を運転し、建込簡易土留をトラックから降ろす作業を行なった。被災者は溝の中で待機し運ばれてきた土留をワイヤから外す作業を担っていた。1枚目の設置が終わり、2枚目の設置に移る際、周囲の土砂が崩れたため、すぐに作業員は被災者に声をかけ回避を促した。しかし建込簡易土留も共に崩れてきたので回避をすることができなかった。結果的に被災者が下敷きになったものである。

原因・対策

本件労災は、掘削作業場所の調査が不十分であったこと、正しい建込簡易土留の設置方法を実施していなかったことが原因で起きた災害である。また当日支保工作業主任者が居合わせておらず、被災者は作業が終了する前に溝の中に入るという誤った手順を踏んでしまっていたことにも起因している。

このような事故を防ぐためには作業箇所の地質調査を事前に十分行い、支保工作業主任者の指導のもとで正しい手順で作業を行うことが大切である。建込簡易土留の設置は掘削を行いながら沈めていくものなので、工事途中に作業員を溝の中に待機させてはいけない。


一人親方あんしん労災 – 土止め支保工の腹起こしが倒壊し激突される

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

土止め支保工の腹起こしが倒壊し激突される


発生状況

本件労働災害は下水管の敷設工事中に、掘削溝の地山と土止め支保工の腹起こしが崩壊して発生したものである。溝は幅1m、深さ2.3mほどで、3m掘削するたびに土止め支保工を組み立てていた。

組み立ての手順は、掘削した部分の四隅に親柱を立てる→親柱に腹起こしを設置する(作業員が北を向いて右下、左下、右上、左上の順)→パイプサポートを切りばりとして当てる→腹起こしで囲まれた部分に木矢板をぴったりとはめる、というものだった。

本事故は腹起こしを設置する際に発生した。左下の腹起こしを取り付けていると突然右下の山壁と腹起こしが崩れ、溝で作業していた被災者に腹起こしの部材が激突した。その後の調査で、現場の土砂は連日の雨で水分を多く含んでいたこと、数ヶ月前に現場付近でガス管工事があり、今回崩れた土砂は埋め戻されたものであったことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、本来土止め支保工を組み立てる際には掘削回数を2回に分け、1回目の掘削が完了した時点で親柱を打ち込まなければならないが、一度に掘削しきってしまってから打ち込みを行ってしまったことが挙げられる。さらに現場の管理者は作業場所に埋め戻された部分があること、雨により地盤が緩んでいたことを知っていたにも関わらず、具体的な対策を考えていなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、土止め支保工を設置するときは必ず現場の土地の状態に合わせて行うこと、より安全に配慮した作業計画を立てることが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 雨水管の設置工事中に掘削溝崩壊で木矢板と挟まる

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

雨水管の設置工事中に掘削溝崩壊で木矢板と挟まる


発生状況

本件労働災害は雨水管を設置するため、長さ100m・幅95㎝・深さ2.2mに掘削された溝に入り、土砂崩れ防止のため支保工を設置する際に発生したものである。

工事は、ドラグ・ショベルで溝を掘る、支保工を立てる、雨水道管を埋めるという業務を並行して行うことになっており、被災者は支保工を設置する作業の中でも、矢板を掘削溝の側面に建て込むという役割を担当していた。建て込み開始からおよそ30分後、突然溝の左側が隆起したため一度支保工を取り外すことになった。そのあと溝に溜まった水を汲み取ると再び支保工の設置を行なったが、しばらくすると左の土壁が3㎥ほど崩れた。この時被災者は矢板を立てていたため、流れ込んだ土と矢板の間に挟まれてしまった。

その後の現場調査で、切梁の片側と腹起しとが固定できていない箇所があったことを確認した。また今回扱った地山には粘土が含まれており、溝の下部は隣を走る道路からの水で常に濡れている状態だったことがわかった。

原因・対策

本件労災は、土壁が隆起したにも関わらず建て込みを中止しなかったこと、切梁と腹起しをしっかりと設置できていなかったことなどが原因として挙げられる。また、現場の安全を管理し適切な指示を出す主任者がいなかったことも起因する。

このような災害の対策として、現場の地質を必ず確認し現場に合った作業方法をとる必要がある。また、作業をするときには必ず主任者を選任し、主任者の指示に従うことが重要である。

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